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「ジルベルトながの」会報 は112号を迎えました  (すわ子)



  111号 ランドルフ・コールデコットの作品から

  112号 田島征彦 ー 型絵染の絵本


  「ジルベルトながの」は こどもの本を楽しむ会です

  毎月一回、会員が集まり、こどもの本を読み、論じ、楽しんでます

                                   



 111号 より  「昔話について」 高橋忠治さんのお話を聞いて 

                           豊城 久恵

 感想を一言で申し上げれば「ああ、来てよかった。」です。       昔話については初めて聞くことばかりで、「はあ、なるほど、なるほど」と うなずきながらメモをとることばかり。その上、昔話を大人の研究の対象と して分析すると、こんなに奥が深く楽しいものなのか、とまたまた感心する しだいです。                             そして今回なによりの収穫は、昔話から学ぶ、先人達の┌子育て”です。  「一寸法師」「まめ助のはなし」からは、いつかは大きくなるのだから、ゆ っくりゆっくり大きくなろう→あわてて育ててはいけないよ!と私には聞こ えました。また、全ての子が神様の授かり者である。本当にその通り。もっ ともっと愛情を注がねば…。そして最後に┌旅”。どの子も旅に出て身に付 ける知恵の数々。これは子離れに通ずるものかと理解しました。      どれをとっても、わかってはいても毎日のなかで忘れ実行できずにいたこと だったので、ズン!と胸にこたえました。またこれらの話は、高橋さんの 優しい口調と分かりやすい言葉が、一層私の心に深く潜みわたったのです。 今回は運良く、夫に子供を預けられたので、スッキリ手ぶらで、おかげさま で集中力 もグンとUPして聞くことができました。また、2月に長野に来 てからは、大好きな絵本の知識を勉強する機会も、借りる機会も減り不満が つのっておりました。その上、9月に父を亡くし、人間未熟な私は、現実の 父の死をうまく受け入れられず、もんもんとしておりました。その悩みを以 前住んでいた千葉で、語りや絵本の楽しさを教えて頂いた方に相談すると、 「いつまでま悲しんでいても、お父さんは喜ばないわよ、…」の一言でスッ !とふっきれ、さっそく、絵本好きの友人に声をかけ、あちこち電話等で問 い合わせ、図書館の文庫まつりでめぐり会えたのが宮下さんです。     りんご文庫に上の4歳の子を連れていって、どんなに喜んだか!(移動図書 館は午前中で彼は自分で選べません。)そして今回、こんなすてきなお話を 聞けたこと。また近日、友人とはじめた古里の育児サ―クル(らっこくらぶ )にも宮下さんがお話に来てくだされば、絵本の楽しさを知る仲間も、もっ ともっと増えることと思います。                   




 112号 より                          

                     ‥田島征彦さんと出会う‥           
                        高野節子

                       

喫茶「ゆいまある」へ昨年秋初めて足を踏み入れ、その独特な雰囲気に中で 田島征彦さんの話を聴くことができました。               初めて会うのに、なんだか懐かしいようなひとなつっこい笑顔の征彦さん。 絵本「じごくのそうべい」のユ−モラスな語りに引き込まれ、子供のように 無邪気に笑いました。                         京都丹波での自給自足の生活の様々なエピソ−ドには「こだわり」を感ずる 。双子の征三さんとの少年時代の話で、いろいろ器用にこなす征三さんに比 べ、不器用だと言う征彦さんがやがて自分の持つ独自性を染色の分野でいか すこととなる。ひょうひょうとした風貌の内側に、コンプレックスに打ちの めされながらもしぶとく立ち上がってきた魂があるようだ。染色の勉強を経 て、型絵染めの絵本を創りだし、今回何冊かの作品に触れた。       征三さんとはまた違う持ち味のある征彦さんの絵本を山岸さんと共にその魅 力を紹介できたらと思う。                      

「火の笛 祇園祭絵巻」  童心社  作・西口克己  絵:田島征彦

《あらすじ》
応仁の乱から50年を過ぎた天文元年、京の町にはいまだに血なまぐさい争 いが続いていた。長い戦と厳しい年貢の取立に苦しむ百姓たちは一揆を起こ し京の町へなだれこみ、町衆の人々もその巻き添いで家を焼かれたり亡くな る者もいた。ついに新吉を含む2万もの町衆達は一揆の根拠地山科へ侍達を 先頭に攻め入る事となるが、新吉が見た現実の百姓たちの苦しい暮らしぶり に心が揺れ動いた。その帰途、百姓の味方をした近江の馬借(馬を飼い荷物 を運ぶ人足)達に攻められた。結局、頼みにしていた侍達は不利となるや我 先と逃げだす有り様、新吉達は悔しさと虚しさを味わう。         その一方で念仏踊りで見かけた あやめ に心引かれてゆく。地子銭(税金 不払いを決め幕府に立ち向かう町衆は、孤立し一度は敵に回した馬借達に、 あやめを人質とし命がけで支援を求める。馬借のリ−ダ−熊左にその願いが 通じ、関所を突破し米を届けてくれた。                 あやめも無事に解放され新吉と再開する。その後も馬借隊は米や魚、貝など を運び続け京の町に活気が戻りはじめた。                その中で、新吉の心に、「途絶えていた祇園祭を自分達の手で甦らせよう」 という熱い気持ちが湧いてくる。次第に周囲の者も賛同し、秘かに準備を進 める。将軍家の妨害にもめげず町衆の頑張りを馬借やその仲間のつるめそが 支える。ついに困難を乗り越え祭りの日となる。新吉達の乗った長刀鉾は、 堂々と晴れやかに辻を行く。「え−んやあら、やあ」高らかに掛け声が響く
《感想》
有名な祇園祭、実際には見たこともないのですが、このお祭りの歴史に町衆 、馬借達−権力とは対極にある人々−のパワ−、エネルギ−が込められて居 ることを知り、とても深い印象を受けた。歴史には名を残す事もなく消えて いった多くの民衆たち、そして虐げられていたお百姓さん達のことも忘れて はなるまい。征彦さんの眼差しは弱い立場に置かれた者達に注がれている。 そしてそんな厳しい状況下でも、立場や身分を超えて人と人との心が通じ合 い結ばれてゆく−あやめと新吉のように−。               躍動感あふれる征彦さんの絵をごらんください。            

 

田島征彦さんの人柄と「てっぽうをもったキジムナ−」について     
                        山岸 道子

倉作りの喫茶店「ゆいまある」に座った田島さんは、構えたところが少しも なく、小柄な体がそこに座っているだけなのに、気さくでやさしい人柄が滲 み出ていて、集まった人たちを本当に心の底からくつろがせてしまうという 雰囲気を持っていました。文明が人を弱くしてしまい、感動を失わせてしま っていることを思い、自給自足の生活をめざしている日頃の暮らしぶり。で も「私は他人とは違うんだ」という奢りのようなものは見せず、ただただ一 生懸命に、夢中にやり抜こうとするところがいいなあと思いました。畑の草 取りに疲れてしまいには座り込む、へとへとになり寝ころがって手だけでむ しってしまうところなどリアリテイ−があふれていてみんな笑ってしまいま した。                                「てっぽうをもったキジムナ−」は1996年に出版されました。日本の南 の島沖縄は、戦後50年をすぎた今も、アメリカ軍の基地のある島として揺 れつづけ、私たち本土の者がのん気に暮らしている現在も、いざ戦争が始ま ると前面に突き出された島としてあります。物語は大戦の日本の敗戦前後の 沖縄の物語です。戦いの厳しさは、まるで音のないはずの絵本の中から、爆 弾の破裂する音、銃声、悲鳴が大きく聞こえてくるようなすごさを持ってい ます。日本兵のこと、アメリカ兵のこと、そして沖縄のひとのことを、装飾 をはぎ取って征彦さんは「本当にあったんだよ。」と生のまま差し出すこと をしています。                            平和な島で、大きな木に住み、沖縄の人たちを守っている精霊キジムナ−。 そのキジムナ−がまるでキジムナ−らしくなく、鉄砲を持って昼間の木を下 り、さっちゃんという女の子の命を守り抜こうとします。食べ物の為にアメ リカ兵を撃ち、そしてキジムナ−も殺されていくというお話です。最後に、 両手を上げて絞り出すような声で「てんのうへいかばんざ−い!」と叫び息 絶えていきます。この本を通し戦争はいけないんだ。守らなければいけない 命、それを守るために、私たちは何ができるのだろう。と田島さんは絵本を 通して訴えているように思います。小柄な体のどこにこの力が隠れているの でしょう。内容が厳しく、ものすごいエネルギ−に圧倒され、今回はどうし ようか、他の本にしたいな、と思っていた私に、ゆいまあるのマスタ−の吉 本さん(沖縄出身)が、田島さんの絵本を取り上げるなら少し大変かもしれ ないけれど「てっぽうをもったキジムナ−」はいい本だね。ぜひやってみて 。といわれ、そうだな頑張ってみようと思い取り上げました。決めてからの 三週間近く、いろいろ考えました。そのことがあったので、今は本当にこの 本を取り上げてよかったなあと思っています。6月には弟さんの征三さんと の少年時代の映画が長野でも上映されます。お楽しみに!        



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