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【コースと実働時間】
【コース槻要】
石鎚山(1,982m)は、加賀白山以西では西日本の最高峰で、日本百名山の一つである。古くから山岳信仰の山として有名で、役小角(エンノオズヌ)の開山で、日本七霊山の一つに数えられた。お山開きの大祭は7月1日から10日間行われ、最近まで女人禁制が守られてきた(今でも7月1日は女人禁制)。この間に全国より数万人の信者が登拝し、非常なにぎわいをみせる。石鎚登山者は「おのぼりさんかい」「おくだりさんかい」とあいさつの声を掛け合い、互いに励まし合っている。なお、石鎚神社によると、石鎚山は山岳信仰の聖地であり、「登山」ではなく「登拝」と言う。
石鎚山・瓶ケ森の一帯は国定公園に指定されており、四季を通じて登山客や観光客に親しまれている。昭和42年に登山口一プウェイが完成し、七合日の成就(山頂)駅(1,300m)まで運行されるようになってから、霊峰・石鎚山がぐっと身近になった。また、石鎚スカイラインを利用すれば土小屋まで車で行くことができるので、今ではこちらからの登山者の方が多くなった。
◎1日目
加茂川沿いにさかのぼり、西之川・ロープウェイ山麓下谷駅でバスを降りる。全長1,814m、標高差839mを、51人乗りのゴンドラはわずか7分30秒で山頂成就駅(1,300m)に着く。石鎚山七合目で、すでに山の気分は十分である。石鎚山・瓶ケ森、瀬戸内海、晴れた日には中国地方まで見える。ここから右手にスキー場を見ながら約30分、広い山道を歩くと石鎚神社中宮成就社(1,400m)に着く。広場を囲んで社殿、旅館がある。吹き抜けの拝殿から、原始林の向こうに石鎚山の雄姿を見ることができる。
広場のはずれの山門をくぐり、いよいよ登山が始まる。が、この先約900mは下りで、その名も「八丁板」という。下りきると鞍部(l,300m)で、壊れた振設トイレと作業小屋がある。ここから本格的な上り吸が始まり、坂道の急な場所には木の階段(横木の間隔が狭い)が設けられている。乗っ越し地点右に「試しの鎖」があるが、ここは左に迂回する。しばらく行くと「前社ヶ森」小屋に着く。
この後、ブナの巨木のある尾根道、ついでトラパース道に入ると一気に視界が開け、雄大な石鎚山の大きな璧が姿を見せる。全体のほぼ中央のコブが山頂の弥山、すぐ左側のコブの中央が天狗岳である。ここから見る石鎚山は、全コースの中でも屈指の美しさと雄大さがあり、疲れが吹き飛ぶ瞬間でもある。なだらかに下ると、広く平坦な「夜明峠(ヨアカシトウゲ)」となる。緑の笹原と褐色の木肌のダケカンバが美しい。少し登ると小屋があり、その右に長さ33mの「一ノ鎖」が懸かっている。ヘリポートのある馬の背と呼ばれる尾根道を行くと、右手がキャンプ場になり、この先に鳥居の立つ分岐がある。見上げると、すぐ上にニノ鎖、さらに三ノ鎖、頂上と首が痛いほどである。左手に下れば、北壁の下を通って土小屋に達する。
山頂まであと一息、距離絶600mは鉄製の階投の巻き道である。滴れていると滑り易く転落の危険も大きく、また、登り下りのすれ違いにも十分な注意が必要である。最後に広い鉄板を渡り、新築なった石鎚神社奥宮頂上社の横を通れば、石鎚山山頂・弥山(1,974m)に着く。なお、最高峰・天狗岳(1,982m)は、短い鎖を降りて、やせて細長い岩稜の右側を約400m、15分ほど行った所にある。
東北東の方向に、端麗な隆起平原である「氷見二千石原」と呼ばれる広い笹原を見せているのが「瓶ヶ森」である。瀬戸内海側には、しまなみ海道の来島大橋も確認できる。気象条件が良ければ、剣山、三嶺、室戸岬、太平洋を見ることができ、さらに冬期、空気が澄んでいれば、大山や久住山が見えることもある。西側の山が「ニノ森」(1,929.2m)で、四国で二番目に高い一等三角点の山である。
ニノ鎖元小屋までは同じ巻き道を下る。滑らないよう気をつけて歩きたい。緊張する区間である。鳥居の分岐から右に折れ土小屋まで約1時間30分の下り行程となる。まず、北壁の下をトラバースし、ルンゼを4本横切るので、落石には十分注意をしてほしい。この後、樹林帯の中のトラパースが広場になった東稜基部まで続く。ここからほぼ稜線通しの快適な道が続く。稜繰を2度ばかり南に越えると、やがて「鶴ノ子ノ頭」(1,637.1m)の北側を巻く。快調に歩を進めていくと、国民宿舎と第2駐車場への分岐、この先わずかで松山営林署小屋の横から舗装路に出る。
土小屋(1,492m)の石碑の建つ第1駐車場で、本日の行動は終了となる。
◎第2日日
土小屋第2軍事場まで車道を行く0トイレの左に小さな標識があり、いきなりの急な短い下りのあと、緩やかに下りとなり、鶴ノ子ノ頭直下から方向を変えてトラパース道となる。小さな谷の木橋を何本か渡り、大きな尾根を左に巻きながら下ると、ツナノ平(ツナノナル)上部の分岐となる。
この分岐を右に道をとり、分水頴のコルを越えてなお緩やかに下ると、またトラパース道に変わり、石鎚山が見え隠れする。やがて右手の大森山への分岐を過ぎる。沢を渡り、小さな岩を踏み越えてからジグザグの急板となり、大きな岩が点在する岩原の分岐に出る。左は刀掛経由八丁板・天柱石コースである。
再び急な大小のジグザグ下りを済ませ、石敷きの坂道を下り、小さな沢を渡る。すぐ小さな尾根で方向を変え、少し先で御塔谷の赤い橋を渡る。成就への道との分岐を過ぎ、廃屋の石垣を下り、数軒の民家の生活道を通り抜ける。最後に数段の階段を下ると、西之川(432m)である。 (高体連・藤原)
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【コースと実働時間】
【コース槻要】
◎1日日 土小屋〜石鎚山〜成就社については、Aコース1日目を参照。
◎2日目
成就社からスキー場に下り、初心者コースのゲレンデ上部に入る。リフトをくぐって左手に下りていくと、森の中に続く今宮道が現れる。北に延びる尾根沿いの道を、電線と一緒に下る。尾根から東側に少しずつずれながら高度を下げていくと、石鎚神社三十六王子が現れる。道は杉や桧の林へと入り、今はだれ一人住んでいない今宮集落の入口では、「乳杉(チチスギ)」が迎えてくれる。西之川から今宮まで延びる林道を横切り、再び林の中にはいると、加溝川の水音が徐々に聞こえ始める。信者の休息所を兼ねるお堂を過ぎると、谷向かいのニノ岳を見ながら高度を下げ、河口(コウグチ)にたどり着く。この後、バスで西条に向かう。 (愛媛大学山岳会・中村)
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【コースと実働時間】
【コース概要】
◎1日日 西之川〜土小屋〜東稜基部については、Aコース2日日を参照
東稜基部を左に入り、初めはシヤクナゲ・シラベ・モミ・ブナ・笹のブッシュの尾根の小さなアップダウンを繰り返す.矢筈岩に来ると、このコースの核心部である岩壁の入口となり、草付きの急なルンゼを登ると、顕著な岩稜帯となり、石鎚山南面の面河側と北面の西条市側の絶景が楽しめる。眼前に迫る石鎚山北壁と南尖峰の大岸壁に圧倒されると同時に、登高意欲がかきたてられる。馬の背状の岩稜50mを越えると、最後の100mの岩稜帯となる。ここからの、ホールドを探りながらの初級ロッククライミングは大いに楽しめます。緊張の続いた後、南尖峰・墓場尾根最上部に飛び出すと登攣終了で、大感激すること間違いありません。
この後は、主稜線上の一般道をたどれば、最高峰の天狗岳(1,982m)を経て、弥山(1,974m)に着く。建設されて間もない石鎚神社奥宮頂上社があり、本日の宿は頂上山・頂上山荘である。
◎2日日
早起きをして、ご来光を楽しんで下さい。
大鎖と巻き道の2ルートがありますが、今回は巻き道を下ります。ニノ鎖元小屋からは、整備の行き届いた石鎚山表参道を成就社へ向かう0ここからもう一息下れば、ロープウェイが西之川に運び下ろしてくれる。(Aコース参照)
(大鎖について…三ノ鎖の長さは約68m、取り付き部の斜度はおおむね45度、その後、60度くらいになる。ニノ鎖は平均勾配50度、長さは65m。ニノ鎖元小屋を少し下ると、夜明峠手前にもう一つの小屋があり、その左手に一ノ鎖が懸かっている。三つの鎖の中で最も短かく、長さは33mほどで、初心者が試すのにはちょうどよい。) (RSCG・重松)
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【コースと実働時間】
【コース椒要】
瓶ケ森(1,896m)は、石鎚山(1,982m)、笹ヶ峰(1,860m)とともに愛媛を代表する山で、石鎚山の東側に対時している0山頂付近は「氷見二千石原」と呼ばれる広大な笹原があって、隆起準平原の名残ともいわれ、なだらかなスロープを描いている.また、ここからの石鎚山の展望は、笹原と共に多くの写真等にも見られ、非常に見ごたえがある。
平成10年秋に永眠した瓶ヶ森ヒュッテの主人は「石鎚山を父山、瓶ヶ森は母山と敬い"いしづち笹"とともに、命のある限りこの山を守り続けたい」と、意欲をもって瓶ヶ森の保全に取り組んでこられました。
◎1日日
西条市を出発、松山自動車道を経て、国道33号線から石鎚スカイラインを土小屋(1,492m)に着く。ここは石鎚登山の基地となっており、多くの車が行き交う場所である.ここから瓶ヶ森林道に入り、よさこい峠(予佐越峠)で下車する。この峠の名前は、林道ができたときに伊予と土佐を結ぶ、という意味からつけられたとのこと。ここからは愛媛県・高知県の県境の稜線上を歩くことになる。
林道からはずれて目の前の「伊吹山(1,502.8m)」に向かう。標高差約100mの急壕を過ぎると、自然林と笹原の平原に出会い、三角点付近は石鎚山と瓶ヶ森の展望台となっている。ブナを主体とする自然林の中を下ると林道と出合い、横切って下るとシラサ峠となる、高知県本川村営のシラサ山荘がある。
右手下方に林道を見ながら緩やかな尾根道を行くと、「子持権現山(1,667m)」の裾になり、回り込みながら急板を登ると鎖場です。そのまま進み、上部に見えている林道に出ると、左手に石鎚山が見えてきます、林道をそのまま歩を進めると、駐車場のある瓶ケ森登山口となる。分岐があり、右は男山の肩を登り、左は笹原の裾のトラパースである。ここは左のトラパースを行く。
右上に見えているのが瓶ヶ森の男山で、まず、こちらに登ります。途中に短い鎖場があるが、男山は狭いため、そのままゆっくりと尾根伝いに女山に向かう。女山は鵜ヶ森の最高峰で360度の展望が楽しめ、今回の大会の山々が全て見渡せる絶景ポイントである。あとは宿舎まで下る。
◎2日目
宿舎を少し南に進み、氷見二千石原を背にして、瓶壷コースを下ります。名のとおりの壷状の泉・瓶壷を過ぎると、釜床谷の深い樹林の中のジグザグを急下降します。道はしっかりとしていますが、スリップには十分注意して下さい。この急板が終わると鳥越で、やや緩やかになった道は各沿いを西に向かいます。はば1kmで常住です。北西に方向を変え、「十郎あれ」の下りとなります。再びジグザグ下り少しがあって、植林帯の中を下りきると林道に出ます。標高差約1,000mを下ったことになります。
林道は名古瀬各に沿って2km強。人家がある所が西之川となります。 (石鎚山岳会・藤村/宇和島山岳会・早川)
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【コースと実働時間】
【コース槻要】
◎1日日
登山口は、旧国道194号線寒風山トンネル南口にある駐車場前の売店横にある。
このコース上最大の急登がスタート地点から始まる。スタートしてすぐジグザグの急登になる。
滑りやすい赤土、小さな岩の乗っ越しなどがしばらく続く。足元に注意しながらゆっくりペースで歩こう。グイグイ高度を稼ぎ、25分〜30分くらい進むと平坦な道になり、緩やかな登りをしばらく進むと、視界が開けてクマザザの道になり、間もなく桑瀬峠に到着する。笹原の中で、吹き抜ける風を受けながら休憩しよう。
桑瀬峠は伊予富士、審風山への分岐点である。休憩を終え、分岐を東(右手)、寒風山に向けて出発しよう。間もなく緩い登りにかかる。しばらくすると平らな道になり、再びジグザグ登りが少し続いた後、低い鉄梯子に出会う。合わせて3箇所の鉄梯子を登り越えると、今度は急な下り梯子が待っている。気を引き締めて下ると、すぐにまたジグザグ登りとなり、審風山が間近に見え始める。展望の良いダラダラ登りを20分ほどで寒風山山頂(1,763m)に着く。ゆっくり休憩し、360度の展望を楽しもう。
鋭気を養ったら、今日の目的地である笹ヶ峰へ向かおう。一気に樹林帯の中に下り、ヤセ尾根のアップダウンを繰り返しながら進む。特に鉄梯子と岩場では慎重に足を運ぼう。やがてクマザサの緩い登りに出ると、目指す笹ケ峰の優しい山頂が見えてくる。右方には冠山、奥の方には赤石山系が峰を連ねて歓迎してくれる。雄大な景色を楽しみながら進むと、やがて笹ヶ峰手前の1,740mのピークに向かう急登にさしかかる。ここまで来ると笹ヶ峰は近い。あと一頑張りだ。一気に登り切ると広い笹原に出る。厳しい所はすべて通過したので、後はゆったりとした笹原の中の、およそ20分の登りがあるだけだ。丸山荘への分岐に来ると、一頑張りで笹ヶ峰山頂(1,859.7m)に立つことができる。祠に手を合わせて登山の無事を感謝してから、大休憩をしよう。360度の景色は圧巻です。
今日の宿舎である丸山荘へは、笹の中の道をゆっくり下る。次第に山荘の赤い屋根が近づいてくる。およそ40分で、山荘の主人が出迎えてくれる。
◎2日日
この日の行動は、吉居で待っているバスまでの下りのみ。山荘は早めに出発する。約1時間、林道まで一気に下る。ブナの原生林、杉林などの中を下ると、ジグザグの急な下りになるので、足元には十分注意が必要です。林道に出ると、約4kmを歩いてバスに乗る。 (愛媛山の会・新田)
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【コースと実働時間】
【コース概要】
世界的産銅量を誇った旧別子銅山を取り囲む地域は、薪炭材の反後伐採と焼窯からの亜硫酸ガスによる被害で全くの禿げ山になった。約100年前から造林・緑化作業を積極的に進めた結果、現在の自然が回復したのであり、裸地への植林時代から天然更新に入った現在までの経過をつぶさに観察することが出来る。
別子銅山の遺跡には立派な石垣の上に、劇場、小学校、接待館、醸造所の遺跡群や精錬所跡、坑道跡、牛車道跡などが保存されている。明治26年に完成した上部鉄道によって銅鉱石は直接新居浜に搬出されるようになる。これらの産業遺跡に接して往時の繁栄に心を膨らませてみたい。
また森を「元(ハジメ)に返す」という強い執念で始まった治山事業で、旧別子銅山には緑が戻ってきた。その中を散策することによって、優れた明治人の自然に対する情念を感じることが出来るであろう。
◎1日日
このコースは新居浜市・日浦登山口(標高800m)より別子銅山跡をたどる。左に谷川を見ながらゆるゆると20分ほど登れば、別子銅山華やかなりし頃を偲ばせる小学校掛、劇場跡、醸造所や接待館跡のある小足谷となる.一度谷を波り、なおゆるゆると40分ばかり歩くと、ダイヤモンド水(地下約1,000から噴出)に着く。冷たい水で喉を潤し、トイレを済ませておくとよい。
ここまでで、銅山越までの距離のほぼ半分である。
この後、歓喜坑を経て、右に左にと大きく方向を変える牛車道を行くこと、1時間ほどで銅山越に着く。東(右)は西赤石、西(左)は西山、北は角石原ヒュッテヘの分岐点である。裸の山肌は痛々しいが、このあたりは赤石山系の特異な高山植物を代表するツガザクラの群生地です。傷つけないよう、くれぐれも注意をしてください。
ここからは右の稜線に取り付き、西赤石山(1,625m)へ向かう。振り返れば遠く石鎚山・瓶ヶ森などが望め、快適な尾根歩きが続くが、頂上手前の2か所の岩場は、十分に注意して通過しよう。頂上では360度の展望が楽しめる。なお、北面は岩場の急崖で、アケボノツツジやミツバツツジが這いつくばって群生しており、春は花、秋は紅葉が見事です。
赤石山系の主峰・東赤石山(1,706.6m)は、西赤石山その東方に位置している。この二つの山は撒捜岩からなり、これが鉄分を含み、風化をうけて酸化鉄の赤色を呈するところから、その名前がついている。
下山は北へ約100m、兜岩まで急降下します。ここから西に、地図に記載のない道を標高差で250m下ると、上部鉄道跡の道に出会う。これを等高線に沿って南にたどれば、赤い屋根の銅山峰ヒュツテが待っている。
◎2日日
ヒュッテを後に、足寄川に沿って緩やかに下る。やがて、第3通洞という、赤レンガの建物の残る広場にやって来る。分岐を右に行くと、鹿森ダムヘの、各沿いの長い下りである。左手の道に入り、緩やかに歩いて東平(トウナル)に着けば、登山行動は終了する。休憩時間を利用して歴史資料館をのぞきます。この後バス乗り、銅山記念館に立ち寄り、かって大いに繁栄した別子銅山に思いをはせていただきます。 (憧山会・山本)
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【コースと実働時間】
【コース槻要】
このGコースは、どちらかというと「御老体」向きの「特別コース」です。御老体という文言がお気に召さないようでしたら、「『なんで山に登るん?』と問われるならば、『酒をのむためや』と我応えん」といった心境の御仁向き、と言い換えましょうか。
とにかく「つちごや」と名付けられているバスターミナルから、「いわぐろさん」と呼ばれている山の頂まで、水平距離にしてほぼ1キロ、標高差250メートルあまりを登って戻るだけですから、3時間ほどで登山行動はお仕舞いです。
◎1日目
西条市の宿舎からは、味も素っ気もない高速道を経て土小屋までバスに揺られます。山に入ってからは、今や昔の面影をすっかり失ってしまった「おもご」渓谷の下流の面河川沿いに走り、渓谷がいよいよ始まるという地点からは、川を離れて左岸の尾根をへつる車道を、石鎚山系脊稜上の土小屋までたどります。「石鎚スカイライン」と名付けられ、10年ほど前までは有料であった全長18キロあまりのこの道路は、昭和45年の開通前後は何やかやと悪名を馳せたものです。
もっとも建設に大反対はしたものの、できあがれば便利なので、せっせと利用した向きも少なくはなかったようですが…。それはともかく、面河渓谷の源流間近に落ちる「御来光の滝」を踏まえて、一時、端麗な三角錐の姿を見せる石鎚山はなかなかの圧巻ではあります。帰路に訪れていただく「面河山岳博物館」は、このスカイラインの起点のすぐそばです。
土小屋からは一気に岩黒山(1,754m)を目指します。頂上からは切れ落ちる脊梁を離れ、丸滝山と呼ばれていて、大峰宗覚心寺の修験道場のある岩峰に続く支稜を少し降りると、鞍部の近くで、岩黒山の南側を巻いている水平道にぶつかりますので、それを土小屋に戻ります。登りに少し、ちょっとした岩峰を巻いたりすることもありますが、全体として道そのものは非常に良好で、足元が少々ふらついても、遭難にまでは至るような箇所は、まずありません。お昼は、それほど広くはありませんが、山頂で済ませましょう。季節によっては、花を愛でながら、ちょいと一杯、
といけるところです。今回は、石鎚山や瓶ヶ森を眺めながら、ということになります。天気によっては土小屋まで戻ってからにします。ロッジと山荘があって、そこそこの飲食も可能です。
極めて特異な景観から、一見の価値はある「古岩屋山」と「岩屋寺」の探索は宿舎に着いてからのこととして、途次、山岳博物館と面河渓に寄り道していただきます。「面河山岳博物館」は、一時期の村長さんが、ほとんど私財を拠ってしつらえ、かっての面河村村営でした。華やかさには欠けるものの、本州あたりのそれとはひと味違って、四国の片田舎にしては学芸員を二人も擁し、ひっそりとですが、優れた資料展示物を誇っています。「面河渓」の散策は時間の都合もあって、核心部を覗いていただくことは難しく、とばぐちだけということになりますが、ご容赦たまわります。
宿泊地は、久万高原町・国民宿舎「古岩屋荘」となります。
◎2日日
翌朝は、少し早起きをしていただき、朝食前の軽い運動と、前夜のアルコールによる酩酊気分をきれいさっぱり払拭するために、バス移動で古岩屋散策としゃれこみます。もちろん、宿舎でゆっくりとくつろぎ、近辺を散策していただくのも結構です。
朝食を済ませた後は、一気に西条まで走ります。 (松山大学山岳部・青木)