冬間近 閉鎖急ぐ北アの山小屋

信濃毎日新聞 掲載

平成17年10月30日(日)


 冬山シーズンが目前に迫り、冬期間閉鎖する北アルプスの山小屋で、小屋閉めの作業が進んでいる。標高約二、三〇〇bの涸沢ヒュッテでも、晩秋を楽しむ宿泊客をもてなす合間に、従業員たちが着々と準備。雪の白さと岩肌の黒さがコントラストを描く穂高連峰に、金づちや電動のこぎりの音を響かせた。

 今シーズン、約一万三千人の宿泊客を迎えた同ヒュッテでは、建物の入り口などの板張り作業。
雪で建物が傷まないようにしたり、中に雪が吹き込まないようにするためで、板を一枚ずつ丁寧に打ち付けた。

 撤去したテラスと売店の柱や床材などは、建物と建物の壁を囲う板張りとの間に収納。例年四月ころの小屋掘り出しの際には、小屋は五b前後の雪で覆われる。「いま、どんな工夫をしたからよって、掘り出しや雪かきの手間が違ってくる」と、従業員の山口浩一さん(27)。木製の階段に防腐剤を塗るなど随所に工夫をしている。

 同ヒュッテは十一月五日まで宿泊客を受け入れ、同七日には従業員たちも全員下山する。

写真:小屋閉めのため、建物の外側に板張りをする涸沢ヒュッテの従業員たち