「山の會」が復活

山を愛し、霧ヶ峰に集う

信濃毎日新聞 掲載

平成17年10月18日(火)


 諏訪市郊外の霧ケ峰高原をテーマに、作家や研究者の話を聞く「復活第一回『霧ケ峰・山の會(かい)』」が十九日まで、同高原の山小屋「ヒュッテジャヴェル」で開かれている。一九三五(昭和十)年に文化人らが霧ケ峰で開いた「山の倉」を、登山史研究者などでつくる実行委員会が七十年ぷりに復活。関東や中京圏などから山を愛する約二十人が集い、交流を深めている。

 初日の十六日夜は作家近藤信行さんが、民俗学者の柳田国男や諏訪市出身の気象学者藤原咲平、詩人の尾崎喜八らが集ったかつての会について講演。十七日は、車山湿原から蝶々深山までを敵策後、沖野外輝夫・信大名誉教授が「八ケ岳山系の水」の題で話した。

 沖野さんは「火山の影響による酸性の川など例外はあるが、八ケ岳山ろくは水の良い豊かな地域」とした一方、テント場や山小屋などが原因で渓流の上流ほど大腸菌が増える傾向があることなどを説明した。

 十八日夜まで、三五年の会に集った文化人の遺族などの話を聞く。参加者は「身近な話で楽しく聞ける」「霧ケ峰を良く知る人の話や考え方を聞け興味深い」と満足そう。

「ジャヴェル」を経営する高橋保夫さん(65)は「霧ケ峰の文化への興味を通じ、新しい出会いが生まれたのが一番の収穫」と話していた。

写真:沖野外輝夫信大名誉教授(右手前)の話を聞く復活第1回「霧ケ峰・山の會」の参加者