森林浴でがん抑制

林野庁など飯山で実験立証

免疫細胞が活性化

信濃毎日新聞 掲載

平成17年10月14日(金)


 白血球の一種で、がん細胞を攻撃する血液中のNK(ナチュラルキラー)細胞の働きが森林浴で高まることが十三日、林野庁と日本医科大などが飯山市内で行った実験で分かった。

 ストレスの少ない生活がNK細胞を活性化させることは知られており、実験結果をまとめた日本医科大の李卿講師は「森林浴がストレスを解消し、がん抑制につながることがデータから立証できた」としている。

 実験は東京都内に勤務する三十-五十歳代の男性会社員で、長時間労働をしているなど疲労やストレスがたまっているとみられる十二人を対象に実施。九月上旬の三日間、飯山市郊外の森林遊歩道(二・五キロ)を初日に一回、二日目に二回歩いてもらった。

 出発前と滞在二日目、三日目の計三回血液を採取。NK細胞が壊すがん細胞の割合で示すNK活性化率の平均値を比較した結果、出発前に比べ二日目は26・5%、三日目は52・6%増えた。

 実験では、NK紬胞ががんを壊す武器となる三種類の抗がんタンパク質が森林浴後に増えたことも確認した。

 実験は、林野庁などが健康面に効能のある森林遊歩道を「セラピーロード」として認定する活動の一環。長野県内は六カ所が候補に挙がり、七月以降、木曽郡上松町の赤沢自然休養林などでも同様の実験が行われた。