ドングリから熊出没予測

不作の長野や下伊那要注意

信濃毎日新聞 掲載

平成17年9月26日(月)


 ツキノワグマの出没警戒に役立てようと、県林務部は初めて、県内の山林で熊の餌となるドングリの豊凶を調査した。その結果、不作が目立つ長野、下伊那、木曽、諏訪の各地方事務所管内について、「今後、熊が餌を求めて人里に出没する可能性が高い」とし、注意を呼ぴ掛け」ている。

昨年は県内をはじめ福井や石川、富山などで熊が人里に出没する例が多発。死傷者が例年を大きく上回った。専門家からドングリの不作が熊出没の原因との指摘があったことから、県はドングリの豊凶調査を計画。七-八月、各地事所林務課や県林業総合センターの職員が山林内に入った際、コナラやミズナラ、ブナの密集場所を選んで目視で調査し、計七十七カ所のうち十七カ所を「不作」と判断した。

 地事所別で最も「不作」の割合が高かったのは長野管内の十カ所中六カ所。例えば、長野市戸隠ではミズナラニ十本中十九本、上高井郡小布施町雁田ではコナラニ十九本中十九本が「不作」だった。ほかに、台風による落果が目立った下伊那管内が六カ所中三カ所で「不作」。木曽は十ニカ所中五カ所、諏訪は五カ所中ニカ所を数えた。一方、上伊那は全十カ所、松本は十ニカ所中十一カ所が「豊作」だった。

 県林業総合センターの片倉正行育林部長は「調査した職員によって豊凶の判断にぱらつきはあるだろうが、ある程度の傾向はつかめたと思う。今後はより均一、広範囲にサンプルをとり、熊出没との関連も調べる必要がある」としている。

 県森林保全課によると、昨年度の県内の熊目撃情報は千二百二十六件。本年度は八月までに九百十八件に上っている。