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落ち着き戻る浅間山 | |||||||
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昨年九月に浅間山(二、五六八b)が中規模噴火してから、一日で丸一年がたつ。噴火は昨年十 二月九日後に観測されていない。気象庁は六月二十一日、地震回数や火山ガスの噴出量の減少などから、火山レベルを3(山頂火口で小中規模噴火が発生する可能性)から2(やや活発)に引き下げた。客足が遠のいていた観光地は落ち着きを取り戻しているが、依然として活発な状態が続く中、あらためて防災対策を見直す必要を指摘する声もある。
八月の浅間山は、一日の火山性地震が二十−百回程度観測され、地下のマグマの動きと関係する火山性微動とともにやや多い状態が続いている。火口周辺が赤く照らされる火映も、山ろくの高感度カメラで頻繁に観測されている。
二十八日は火山性地震が百三回と、二月二十二日の以来、久しぶりに百回を超えた。軽井沢測候所は「やや活発なレベル2の範囲内の状態で、引き続き山頂付近に微量の噴出の可能性はある」としている。
京大の鎌田浩毅教授(火山学)は 「今年に入って落ち着いているが、火映が見られることから、火口の下のマグマの活動は続いている」とみる。昨年の噴火以降、地震計や山体の傾斜計の観測点が増設され、「観測の精度が上がって噴火の予知はしやすくなっている。周辺を訪れる人も地元の防災情報に注意していれば、ほぼ安全だと思う」と話している。
観光客徐々に回復
噴火直後は団体客の宿泊キャンセルが相次ぐなど、観光業に大打撃となったが、規制緩和とともに客足は戻りつつある。小諸市高峰高原では、浅間山西側の黒斑山に一日百人以上が登る日もあり、観光客もも徐々に回復。ただ、火山活動レベルの引さ下げに伴う入山規制の緩和は観光シーズン直前だったため、「規制の緩和がまだ十分に知れ渡っていない」(ホテル経営者)との声もある。
火口から北に約4`の「鬼押し出し園」(群馬県嬬恋村)は噴火後、観光客の安全対策や防災用品の配備などを再点検した。担当者は「観光客の安全意識はかなリ高まっている。業者側も、浅間山の特徴など正確な知識を身に付けておかないと対応できない」と言う。
軽井沢観光協会の荒井宏会長は「観光に影響は出たが、浅間山のことや防災を真剣に学ぶ転機になった。浅間山と共存するには、安心することなく勉強を続ける必事がある」と気を引き締めている。
写真:中規模噴火から1年がたつ浅間山=31日北佐久郡軽井沢町峰の茶屋