白馬大雪渓の崩落土砂監視カメラを設置へ

信濃毎日新聞 掲載

平成17年8月17日(水)

 北アルプス白馬大雪渓で起きた土砂崩落で、北安曇郡白馬村と国交省松本砂防事務所は十六日、信大の北沢秋司名誉教授(治山・砂防)に依頼して、現場を上空から視察した。北沢名誉教授は、崩落した土砂を監視するよう提案し、崩落は地質に起因しており再発の予測も難しいとの見方を示した。村と同事務所は、安全対策のため監視カメラの設置を決めた。

 北沢名誉教授は視察後村役場で開いた会合で、雪渓の上にたまった土砂は、大雨や雪渓の雪解けにより下方に崩れかねないと指摘。崩落した土砂の監視を提案した。

 松本砂防事務所によると、監視カメラは電源確保の条件から、現場の約二`下の白馬尻(一、五六〇b)に設置予定。映像は白馬村役場に送る。村は、映像に基づく登山者への情報提供について具体策を検討する。

 北沢名誉教授は、崩落の原因も堆測した。崩落したのは、大雪渓上部の南側斜面の「天狗菱(てんぐびし)」と呼ばれる場所で、割れ目の生じやすい珪長(けいちょう)岩の地質。風化した岩の粒が岩盤の亀裂に入り、雨水を含んで膨張したため岩盤が崩れ、衝撃で一帯の岩も崩れたとの見方を示した。新たな崩落の予測は難しいという。

 崩れた土砂は長さ約三百b、幅約五十b、厚さ数bにわたり堆積しており、杓五万立方bと推定されるとした。