白馬大雪渓 迂回ルート100人入山

土砂崩落の現場目前に

信濃毎日新聞 掲載

平成17年8月15日(月)

 土砂崩落が起きた北アルプス白馬大雪渓で十四日、発生から三日ぶりに入山禁止が解除された。通行可能になった午前六時以降、猿倉登山口から約百人が入山。崩落現場を間近に望む迂回(うかい)ルートを通って白馬連峰を目指した。

 関係者によると、例年ならお盆や最盛期の週末は五百人ほどが入山するが、この日は大幅に落ち込んだ。午前中は晴れで時折ガスが発生、午後から雨が降り始めた。

 崩落が起きたのは、大雪渓上部の南側にある「天狗菱(てんぐびし)」と呼ばれる二つの頂の斜面。土砂は大雪渓を横断して長さ約三百bにわたり、天狗菱の岩肌には岩盤ごと崩落したとみられる跡が残っていた。

 現場を見上げていた佐賀市の岸川美波留さん(44)は「崩落が数日遅かったら自分たちが被害に遭ったかもしれない」と規模の大きさに驚いた様子。多くの登山客が「自然は本当に怖い」と口をそろえた。

 男性二人が死傷した現場ではこの日も、登山者が埋まったとの情報に基づき、大町署などが捜索したが、手掛かりはなかった。

 白馬岳山頂方面へは、大雪渓の中間地点の通称「砂山」から北側斜面を通る既存の「秋道」に入り、途中から北ア北部遭対協が整備した迂回ルートを経由する。

 遭対協は解除に合わせ、落石や崩落への注意を呼び掛けるため、大雪渓の入り口と崩落現場近くの登山道に監視員を配置し、ルートの場所について説明している。

写真:土砂崩落現場を眼下に、迂回ルートに新設した木橋を渡る登山者たち=14日午前10時50分、北ア白馬大雪渓