落石の危険捜索は難航

白馬大雪渓土砂崩

不明者手掛かりなく

信濃毎日新聞 掲載

平成17年8月13日(土)

 北アルプス白馬大雪渓で起きた土砂崩落で、大町署などは十二日、赤いヤッケを着た登山者が埋まったまったとの情報に基づき捜索を続けたが、手掛かりは見つからなかった。十三日も捜索を行う。同署は周辺の山小屋宿泊者の安否確認などを進めているが、今のところ該当する行方不明者の情報はない。

 大町署は崩落前夜に周辺の山小屋に宿泊した約三百人のうち、単独か二人で付近にいた可能性のある四十人余の大半で、無事を確認した。県警本部と同署には計二十件余の問い合わせもあり、それぞれ調べている。

 この日は県警山岳遭難救助隊員や北ア北部遭対協救助隊員ら十九人で捜索。落石の危険が高いため、崩落土砂の下端などから双眼鏡で捜した。現場には直径が二b近い石も多数転がっている。だが、重機の使用は、雪援の薄い部分が抜け落ちる可能性が高いため、困難な状況だ。

 一方、遭対協が進めていた崩落現場を迂回(うかい)する登山道の整備が完了。迂回路は雪渓の北側斜面にあり、土砂が流れ込んだ場所よりも十bほど高い。十二日夕に開いた北安曇郡白馬村の遭難対策本部の会合では、十三日に落石の状況や安全を確認し、通行止めの解除について判断することを決めた。

 捜索した遭対協隊員によると、落石は崩落が起きた十一日より収まったが、雨が激しくなって捜索索を終了した直後の午後二時四十分ころ、数回の落石があったという。

写真:崩落現場から下山し、疲れきった表情の救助隊員=12日午後2時45分、白馬尻下部の登山道