中ア コバイケイソウ今年は「当たり」

信濃毎日新聞 掲載

平成17年8月11日(木)

 中央アルプスは今夏、コパイケイソウの「当たり年」で、満開の群落が登山者を楽しませている。花期は終わりに近いが、千畳敷カール(標高約二千六百b)の雪解けが遅かった場所は、これからが盛りだ。

 コパイケイソウは白い小さな花が密集して穂になり、緑の葉や、シナノキンパイなどの黄色い花との対比が実しい。三−五年に一度、多くの花を付けるとされ、千畳敷では昨年も花は多かったが、「今年はそれ以上」(ホテル千畳敷)。「十数年に一度の咲きっぷり」と話す自然保護指導員もいる。

 山小屋の管理人らによると、空木岳近くの空木平、南駒ヶ岳近くの摺鉢窪(すりばちくぼ)カールでも七月下句−八月上旬、近年になく見事に咲いたという。

 植物に詳しい駒ヶ根市立博物飽学芸員の林芳人さんは「各地で同時にたくさんの花を付けた理由は分からないが、花芽は前の年の秋にできるので、昨年の天候が影響したと思う」と話している。

 北アルプスでも、涸沢と北穂高岳の間の北穂沢で「例年より多く咲いた」(涸沢ヒユツテ)という。

写真:満開となったコパイケイソウの群落。中アでは「十数年に1度の当たり年」という=千畳敷