二大観光地を結ぶ山歩きルートを

山岳関係者が整備構想

白馬大雪渓−栂池自然園

信濃毎日新聞 掲載

平成17年8月4日(木)

 北安曇郡白馬村と小谷村の山岳関係者の間で、北アルプス白馬連峰の白馬大雪渓と栂池自然園を結ぶトレッキングコースの整備構想が浮上している。戦前に開かれ、現在は使われていない登山道を活用。ふもとから中腹の自然景観を前面に出した二大観光拠点を結び、誘客を図る計画だ。

 この登山道は一九三五年に完成。大雪渓下部の白馬尻(標高一、五六〇b)と栂池自然園(一、八六〇−二、〇一〇b)がある場所を結んでいた。小谷村方面まで鉄道が延び、新たな登山道ができてからは、ほとんど使われていない。

 中高年の登山ブームが言われているが、白馬連峰では山頂を目指す登山者は全盛期の昭和四十年代より減少。一方、山すそや中腹を歩くトレッキングの人気が高まっているという。自然園と大雪渓は地図上の直線距離で約三`。白馬村と小谷村の山案内人組合はトレッキングルートとして旧登山道に注目、両村の担当者を交え踏査もした。

 「団塊の世代が定年を迎え、中高年を中心にトレッキング客は増える。今から手を打たねばならない」と白馬山案内人組合の降旗義道組合長(57)。観光関係者も「ふもとの宿泊施設の活性化につながる」と期待する。

 大雪渓と自然園は中部国立公園内にある。管理する環境省は本年度、公園の利用や保護に関する公園計画の見直しを進めている。これに合わせてコース整備を求める動きも地元にあったが、いまのところ具体化していない。

 構想について、福島信行白馬村長は「興味深いが危険個所もあり、安全や整備費の面で慎重な検討が必要」との姿勢。小林三郎小谷村長は「人がしばらく入り込まなかった場所なので、自然保護の面でも注意しなければならない」としている。