上高地熊にご用心

散策路などで目撃相次ぐ

信濃毎日新聞 掲載

平成17年7月30日(土)

 松本市安璧の上高地で、河童橋からそれはど離れていない場所で熊の目撃情報が相次いでいる。上高地一帯はもともとツキノワグマの生息地だが、環境省などによると、ここ数年は人間をあまり気にしないで散策路などにも出没するケースが目立つようになっている。同省中部地区自然保護事務所などは「鳴り物を持つなど、山歩きで通常払う注意が上高地でも必要」と呼び掛けている。

 自然公園財団上高地支部によると、四月から七月下旬までに寄せられた熊の目撃情報は約五十件。五、六月に情報が集中した後、いったん落ち着いたが、七月下旬になって再び増えている。河童橋から梓川の上流に架かる明神橋の一帯や徳沢のほか、河童橋の下流側の田代橋や梓川右岸のウエストン碑周辺といった一般観光客が散策する場所にも出没している。

 環境省中部地区自然保護事務所の原浩二・自然保護官は「親熊が人を恐れなければ、子熊も人を怖がらない。世代交代が進むにつれ、人の前に現れることに抵抗が少ない熊が増えてきたのではないか」と推測している。

写真:上高地の河童橋から1`ほど明神池方面に向かった梓川右岸で、観光客用の木道を歩くクマ=19日