松本・沢渡の国道158号28日仮復旧

夏本番「間に合った」客足大幅減
観光関係者安堵の声

信濃毎日新聞 掲載

平成17年7月23日(土)

 松本市安曇・沢渡で一日に発生した土砂崩落で、通行止めが続いていた国道158号が二十八日、仮設道路を使って開通する見通しとなった。通行止めの影響で、客足の落ち込みに悩んでいた上高地や沢渡の観光関係者からは二十二日、「夏本番に間に合ってよかった」と、安堵(あんど)の声が聞かれた。

 仮設道路が二十八日に開通するとの知らせは、二十二日昼前、上高地と沢渡の町会を通じて各宿泊施設などに連格があった。旅館「西糸屋山荘」の奥原宰社長は「本当は今週末に開通すれば一番いいが、開通はありがたい」。上高地への長野県側の玄関で、特に影響の大きかったさわんど温泉観光組合の百瀬輝正組合長は「国道が通れる状態で七月最後の週末を迎えられる」とほっとした表情を見せた。

 環境省や県、地元などでつくる「上高地自動車利用適正化連絡協議会」によると、災害が起きた一日から十八日までの上高地への入り込みは、昨年比41%減の約八万人。特に、長野県側からの入り込みは昨年比で約七割も減った。山小屋も宿泊客が例年の約半分と影響は深刻。涸沢ヒユツテの山口孝社長は「迂回(うかい)路だと時間がかかるため、敬遠されがち」とし、国道の早期復旧に期待していた。

 上高地観光旅館組合の鳥居総一郎組合長は「夏本番はこれから。観光関係者一同、観光客を精いっばいもてなし、これまでの遅れを取り戻したい」と話していた。国道158号迂回路渋滞対策強化へ市の会議で確認 松本市安曇・沢渡で起きた土砂崩落のため国道158号が通行止めになっている問題で、市は二十二日、三回目の対策会議を市役所で開いた。仮設道路が開通する二十八日まで、迂回(うかい)路としている県道白骨温泉線、上高地乗鞍スーパー林道の渋滞対策を強化することを確認した。

 十六−十八日の三連休に迂回路が大渋滞したのを受けて、二十三、二十四日は乗鞍高原に職員五人を派遣。マイカー客に路線バスヘの乗り換えを呼び掛けたり、駐車場の案内をする。仮設道路開通の情報を市のホームページに掲載、東京、大阪など主な都市の観光案内所でも周知する。

 会議では、安曇、奈川両地区の事業所を対象にした臨時の低金利融資の利用が、二件、計三千三百万円分あったことも報告された。

写真:仮設道路の建設が進む松本市安曇・沢渡の国道158号の土砂崩落現場