『レスキュー費用共済』県内の山岳関係者ら設立

 

 

登山者の捜索・救助に限定

 

信濃毎日新聞 掲載

平成17年6月30日(木)

 県内の山小屋経営者や旅行会社などが呼び掛けて昨年七月に始めた、捜索・救助限定の「レスキユー費用共済」が登山愛好者らに注目されている。避難者が民間へリコプターで救助された場合は多額の費用がかかる。これに備え、補償対象を捜索と救助活動時の費用に絞り、病気が原因でも適用するのが特徴で、加入者は現在二千人余り。今後、救助が少なく余剰金が生まれた場合は、北アルプスの登山道整備に充てる構想もある。

 共済団体「日本山友クラブ」 (松本市、岡村利昭理事長が提供し、入会金五百円と、年間の掛け金、会費の計五千五百円で入会できる。国内の山岳で警察などを通じて行われた捜索や救助の費用につき、見舞金として90%、一人当たり年間百五十万円を上限に補てんする。クラブがこの一年問で払った見舞金は十二万円という。

 補償対象は釣りやキノコ狩りも含め野外活動全般。治療費や死亡保険金などは出ない。

 同クラブなどによると、捜索や救助でへりが出動する場合、遭難者の負担する経費は県警へリなら無料だが、民間の場合は一時間当たり数十万円。地元の遭難対策協議会などによる捜索経費も当事者の負担が原則だ。

 保険会社や他の共済団体も遭難関係の保険や共済を提供している。同クラブは「滑落や雪崩などの事故限定、事前の届け出が必要、といった条件付きもある。急病も含め柔軟に対応する共済を望む声が出ていた」という。

岡村理事長(47)は「遭難への対応や(軽いけがなどによる)安易な救助要請の防止も呼び掛けたい」と話している。