帰化植物侵入防止へ「足ふきマット」設置始まる

 

 

霧ケ峰観光は靴の泥を落として

信濃毎日新聞 掲載

平成17年6月25日(土)

 帰化植物の繁殖が問題となっている霧ケ峰一帯(諏訪市、茅野市、諏訪郡下諏訪町)で24日、本来生えないはずの植物の種子が観光客の靴に付いて外部から持ち込まれないようにするため、湿原や遊歩道の出入り口で「足ふきマット」の設置が始まった。県霧ケ峰自然保護センター(諏訪市)や下諏訪町ビジターセンター、観光業者、地権者らが連携して実現。種子をどれだけ除去できるかはっきりしないが、関係者は「観光客が国定公園に入ることを意識し、帰化植物の問題に目を向けるきっかけになれば」と期待している。

 マットは、国天然記念物の八島ケ原湿原(下諏訪町)、車山湿原(茅野市)、踊場湿原(諏訪市)と、ビーナスライン霧ケ峰インターチェンジ近くの「園地」(同)、車山高原スキー場リフト乗り場(茅野市)の5カ所に、7月上旬までに順次設置。人工芝のようなプラスチック製マットを出入り口の大きさに合わせて置き、靴についた泥を落とすよう呼び掛ける張り紙も掲示する。

 霧ケ峰自然保護センターによると、霧ケ峰一帯では60種以上の帰化植物が確認されている。特に多いハルザキヤマガラシ(アブラナ科、欧州原産)やヒメジョオン(キク科、北米原産)は自治体や地権者などが抜き取っているが、取りきれず、種子を持ち込まない予防策も必要になっている。

 マットは、落ちた種子が雨で流れ出ないよう小まめに清掃する。11月末ころまで設置しておき、来春以降も続ける予定だ。

 県環境自然保護課などによると、同じ取り組みは北安曇郡白馬村の八方尾根や、日光国立公園の尾瀬ケ原(群馬県)で行われているという。

写真:遊歩道の出入り口に置かれた足ふきマットで靴の泥を落とす観光客