大発生ハッチョウトンボ

 

 

見物客が増加 苦肉の策で生息地を保譲

 

信濃毎日新聞 掲載

平成17年6月24日(金)

 

伊那の湿地部分開放へ

 伊那市新山の湿地で、大発生しているハッチョウトンボを見ようと見物客が相次ぎ、地元住民や地権者でつくる新山山野草等保護育成委員会(北原重利委員長)は二十三日までに、この湿地を部分開放する方針を固めた。湿地全体が荒らされるのを防ぐため、湿地の入り口付近だけ開放する「苦肉の策」だ。

 現地では、枝重夫・日本蜻蛉(とんぼ)学会会長=松本市=が今春から一年間かけ、ハッチョウトンボの生息状況を調査中。同委員会は調査結果を踏まえて保護、活用策を決めるまで一帯を公開しない予定だった。

 見物客が増加 苦肉の策で生息地を保譲

しかし、このところ湿地付近の住民に場所を尋ね回る見物客が相次ぎ、トンボの生息環境が脅かされる懸念も。委員会は近く、入れる場所と入れない場所を仕切る柵を設置し、付近に説明板を立てる。事務局の筒井弘さん(67)は「積極的に公開しているのでないことも理解してほしい」と話している。

 保護育成委員会は二十二日夜、ハッチョウトンボの習性に詳しい元高校教諭中村正治さん(75)=同市境=を招き、勉強会を開いた。住民ら約四十人が参加。「雄はそれぞれ半径五十aを防衛範囲とする縄張りをつくり、雌を招き入れる」といった話を興味深げに聞いていた。

写真:伊那市新山に生息するハッチョウトンボ=2日撮影