霧ケ峰 半世紀ぶり火入れ 

信濃毎日新聞 掲載

平成17年4月25日(月)

 諏訪市郊外の霧ケ峰高原で24日朝、半世紀ぶりに火入れ(野焼き)が行われた。一帯の森林化を防ぎ草原の植生をよみがえらせる試み。市などがビーナスライン霧ケ峰インター近くの標高約1680メートル地点で約7・1ヘクタールを焼いた。地元消防団や県内外のボランティアら300人余が作業に参加し、見守った。

 富士山や八ケ岳連峰も青空にくっきり浮かび、ほぼ無風の午前7時15分ごろ、山田勝文市長が「火入れ開始」と宣言。道路や防火帯に囲まれた区域内の斜面下部で、約20人が枯れ草に点火した。パチパチという音とともに白煙が上がり、黒く焦げた面積がじわじわと広がった。霜で湿っていたため、勢いよく燃えることはなく、約1時間でほぼ自然に消えた。

 火入れは、低木の生育を妨げ、ススキなどの枯れ草を焼くことで地表に日光が当たるようにし、地中に埋まっているキキョウ、オミナエシといった草花の種の発芽を促す狙い。市と県環境保全研究所(長野市)が10月まで、植生を調査する。

 反省会で山田市長は「できれば毎年続け、昔ながらの草原の姿を取り戻したい」とあいさつ。火入れ区域を所有する下桑原牧野農業協同組合の小松隆光組合長(71)は「霧ケ峰を愛する人たちが大勢集まり、ありがたい。火入れを霧ケ峰高原全体に広げていきたい」と話していた。

写真:北アルプスを望む霧ケ峰高原で半世紀ぶりに野焼きの火が燃えた=24日午前7時20分、諏訪市郊外