飯縄山 登山のし尿対策に市が本腰
携帯トイレの普及目指す

信濃毎日新聞 平成17年4月19日(火) 掲載

 長野市は、市民の山として親しまれている飯縄山(一、九一七b)で、登山者のし尿対策に乗り出す。小学生でも日帰り登山を楽しめ、夏季中心に年間を通じて登山客でにぎわう。だが、登山道沿いには使用済みのティッシュペーパーが散乱。昨年、登山道の水場で大腸菌も確認された。中高年の登山ブームが熱を帯びる中、市は携帯トイレの普及により、山岳の環境保護を進める。

 市が普及を目指す携帯トイレはビニール製の既製品で、袋状の中にし尿を入れてもらう。山頂の飯縄神社近くに木製の小屋を設け、この中で登山者が携帯トイレを利用できるようにする。六月五日の開山祭から利用を始める予定だ。

 使用済みの携帯トイレは、登山者に登山口付祈まで運んでもらう。市は、南登山道の一ノ鳥居の駐車場、西登山道の戸隠中社ロなど三カ所に回収ボックスを設置する。

 携帯トイレは一ノ鳥居の管理事務所と、近くのコンビニエンスストアで一組三百円で販売する。

 飯縄山の環境をめぐっては、市内のNPO法人が昨年六−九月、市の協力を得て、水場とされる場所で水質調査を八回実施したところ、四回は大腸菌が検出された。市保健所は「飲み水に適さない状態」としている。

 山頂には山小屋もなく、トイレがあるのは登山口の一ノ鳥居の駐車場にだけ。市観光課によると、飯縄山の年間の登山者数も十分には把握できていない。一帯の環境保護のためには、山岳愛好家や市民らの協力が欠かせない。市は二十一日に関係者を招いて懇話会を開き、携帯トイレの普及について協力を求める。

 市は飯縄山での一年間の実績をみて、日本百名山として人気が高まる戸隠連峰の最高峰・高妻山(二、三五二b)での普及も目指している。

写真:長野市の飯縄山の登山者に利用を呼び掛ける携帯トイレ