希少な植物「モイワズナ」
上田の有志専門家と生態調査

信濃毎日新聞 平成17年4月18日(月) 掲載

 上田市の自然や山の愛好家らが植物生態学の専門家と協力し、希少種で年々減少している植物「モイワナズナ」の調査をしている。十七日は山岳会「上田コマクサ山の会」 (森田稲吉郎会長)と自然愛好家でつくる「上田自然に親しむ会」 (笠原知子会長)の計六人が、急斜面の岩場でモイワナズナの生えている面積や株数などを測定。幅広く知ってもらい、保護につなげたいと願っている。 

 アフラナ科のモイワナズナは根元近くに葉が密集。高さ十数aほどの茎を伸ばし、その上に直径一aほどの白い花を固まって咲かせる。北海道と上田市西部の岩鼻周辺にしか自生しないという。

  調査は五年ほど前から、植物生態学が専門の林一六・筑波大名誉教授=上田市古里=と市民が始めた。モイワナズナルは生態に謎が多く、育つ温度や増え方など、植物としての性質を研究し、四月に論文にまとめた。

 次の段階として、育つ環境に注目。四月から岩鼻周辺の自生地を調べることにした。調査は今後も続け、なぜ東北地方にはなく、上田市だけに生えているかを解明していく予定。理由の一つに霧が関与している可能性も考えられるとして、湿度や温度を計測していく。

 森田会長は「市民も貴重な花の存在をあまり知らない」と話し、調査によって、地域の環境も含めた自然保護の動きにつなげたいとの思いもある。

 写真:白い花を咲かせるモイワナズナを調査する人たち