カワウ増加、減るウズラ 外来種の繁殖目立つ

信濃毎日新聞平成17年4月9日(土) 掲載 

 日本国内で繁殖する鳥類の中で、カワウやアオサギがここ20年ほどで繁殖・生息地域の分布を大きく広げる一方、ウズラやアカモズの分布は極端に縮小していることが8日、環境省の自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)で分かった。20年前は見られなかった外来種のソウシチョウなども広く分布していた。

 環境省は「分布が縮小したのは、水田周辺で除草剤が使われたり、牧草地・採草地に人手が入らないなど里地の環境変化が影響しているのではないか」とみている。

 調査は全国を20キロ四方の約1200区画に細分し、1997―2002年度に繁殖期の現地調査や研究者アンケートで繁殖・生息地域の分布を確認。74―78年度の調査結果と比較した。

 日本に生息しているとされる鳥類577種のうち、国内で繁殖する248種の分布図を作成。約8割に当たる196種に大きな変化はなかったが、拡大が目立ったものが25種、縮小が27種あった。

 琵琶湖などで食害問題が起きているカワウは、以前の5区画から12倍以上の62区画で繁殖・生息を確認。アオサギも69区画から406区画に拡大していた。

 外来種では、前回はゼロだった中国・台湾原産のガビチョウが21区画、インドなど原産のソウシチョウは57区画で確認。観賞・愛玩用に輸入されたのが野外へ逃げたとみられる。

 これに対し、ウズラは46区画から5区画、アカモズは99区画から22区画に減少。湿地などで繁殖するシロチドリやヤマシギ、北海道に生息するエゾライチョウ、東南アジアから夏に渡ってくるアカモズ、ヨシ原にすむ外来種ベニスズメも分布が縮小した。