長野県・河北省友好提携20周年記念
長野県日中友好の翼訪中団
田中知事を団長に100名、友好を深めて帰国

 田中康夫知事を団長とし、小林実県会議長を顧問とし、井出正一県日中友好協会会長を団長代行とする総勢100名の長野県日中友好の翼訪中団は10月21日から24日(一部は10月17日から上海・西安・敦煌などを友好訪問した後、合流)まで、中国河北省の省都・石家荘市と首都北京を友好訪問しました。河北省では長野県と河北省友好提携20周年を記念しての記念植樹と党書記・河北省長との会見及び祝賀招待会、北京では人民大会堂においての王兆国全国人民代表大会常務委員会副委員長との会見と祝賀歓迎宴に出席し友好を深めることができました。協会からは、井出会長のほか若林甫汎副会長(県農協中央会専務・河北省農林研修生受入実施委員会会長)、山根敏郎副会長、高波謙二副会長、西堀正司理事長、原山繁夫北京放送聞く会会長らが参加しました。また県からは合木康典県国際課長らが、県議会からは柳田清二・西沢正隆・木内均・今井正子の各県議が参加しました。特別ゲストとして、長野県佐久出身の「北国の春」の作詞者の井出はく氏も参加しました。

 10月22日には石家荘市郊外の平山県崗南鎮において緑化記念の除幕式と植樹が行われました。平山県太行山地区の緑化協力事業は日中緑化交流基金の支援を受け2000年からスタートしたもので、今度の記念植樹は第4期協力の開始を告げるものでした。地元盧長鎖県長と井出会長があいさつし、除幕の後、100名近い地元農民の皆さんと共にコノテガシワ300本余りを植えました。県政府招待所では歓迎の昼食会が行われました。席上田中知事は「緑は人を育む。一人一人の小さな思いが数年後に大きな緑として結実することを願っています」と述べ乾杯しました。 

 市内に戻った一行は、ハイテク経済開発区を視察しました。知事は季允石省長と懇談の後、団役員38名と共に白克明党書記(省のナンバーワン)と会見しました。白書記は熱烈歓迎の意を表した後、「友好提携以来20年両省関係は関係者の努力により健全に発展してきました。平山県の緑化協力やSARS支援に感謝したい。河北省の近年来の目覚しい発展は、対外開放により経済・文化の交流を推し進めた結果であり、長野県との間に互恵平等の交流を更に発展させていきたい。中日友好は中日両国のみでなく東北アジアの平和を保つためにも重要な意義がある。共に友好を維持発展させアジアの平和に貢献しましょう」と述べました。田中知事は、「勇気と希望を与えるお言葉に感謝します。長野県と河北省は共に首都圏など大都市に近く農林業・工業・観光が盛んで重要な役割を果している。長野県と河北省は100年200年先を見据えた夢を持って付き合っていきたい。周恩来総理はかつて小異を残して大同につくと言われた。両国間には不幸な歴史があったが歴史を正しく見据え一炊の夢でない確かな未来を目指したい」と述べました。

 続いて、全団員と河北省の多くの友人が出席して20周年記念招待会が盛大に催されました。季省長は歓迎のあいさつの中で、「20年来友好に尽力された県・議会・友好協会の友人の皆様に感謝します。経済・技術・文化等各分野の交流が盛んに行われ、緑化プロジェクトの取り組み、18回の青年の船の受け入れ、400名に上る工・農・医学研修生の派遣等が行われた。両省県の相互理解と発展にとって有意義だった。中日両国、両省県は一衣帯水の隣国として協力して未来を目指していきたい」と述べ、乾杯しました。田中知事も、熱烈歓迎に感謝して乾杯。続いて、長年、河北省農林業研修生の受け入れに尽力されてきた受け入れ農家の皆さんに感謝状が送られました。井出会長から、第4期緑化プロジェクト支援金の目録とSARS予防支援金(第3次分)80万円が贈られました。「北国の春」の懐かしい曲が流れる中、作詞者の井出はく先生も紹介され会場は大いに盛り上がりました。また友好20周年を記念して11月2日から長野で絵画展が予定されている著名な洋画家鉄揚先生も紹介されました。各テーブルでは友好的な乾杯と歓談が繰り広げられました。友好的で有意義な祝賀の会となりました。
 
翌10月23日には、団員は石家荘の友人に別れを告げ北京に向かいました。300キロの距離も高速道路を走って3時間半、北京の中心・天安門広場に到着しました。歴史博物館などを参観した後、人民大会堂で政府要人との会見・祝賀宴に臨みました。
 中国の最高指導部の1人で著名な政治家である全国人民代表大会常務委員会の王兆国副委員長と会見し、中国の現状の紹介や長野県と河北省との交流に対する激励の言葉を頂きました。(詳細別項) 田中知事は会見に感謝し、自身の進めている長野県の改革の様子を紹介した後「過去を正しく見つめ100年200年先を見据えていく必要を感じています。日本は世界市民であると同時に、アジアの一員として名番頭としての役割を果すべきだと思っています。」などと述べました。この日は日中平和友好条約の批准書の交換記念日にあたりました。祝賀歓迎宴で中日友好協会の王効賢副会長は「平
和友好条約締結以来の両国の友好発展の成果は誰もが目にしています。中日両国の世代友好、21世紀の友好発展と河北省と長野県の友好発展をお祈り致します」と乾杯のあいさつをされました。厳粛な中にも和やかな雰囲気の漂う、思い出深い祝宴となりました。日中の平和・友好の思いが団員の共通のものとなった夜でした。


王兆国全国人民代表大会常務副委員長との会見(抜粋)

(王兆国副委員長)
 田中知事を団長とする長野県日中友好の翼訪中団の皆様と会見できうれしく思います。心より歓迎の意を表します。河北省と長野県の友好締結20周年をお祝い申し上げます。昨年は、日中国交正常化30周年、本年は日中平和友好条約25周年に当たります。中日関係と河北省・長野県の友好関係が絶えず発展していることは大変喜ばしいことです。両国関係が発展する上で、自治体間の交流は不可欠です。25年前天津市と神戸市が友好都市を初めて締結して以来多くの自治体同士が友好関係を結び、活発な交流を進めてきました。私も福建省長を務めたころ長崎県と友好関係を結び、高崎勇先生と友情を深めました。省と県、市と市同士の提携、民間同士の交流は両国の友好増進に大きな役割を果たしてきました。私は、かつて中日21世紀委員会の主席委員を務めたことがあります。河北省と長野県の交流が経済・科学技術・人材・緑化・農業・IT等の分野で行われ成果をあげてきたとお聞きしています。河北省と長野県の友好協力関係はお互いに長所を活かし相互補完の関係を強めていけば両省県の社会の発展と進歩に貢献することになると思います。今回の訪中は両省県の友好発展に貢献できると思います。
 中国は改革開放以来発展が速いです。河北省と長野県が交流を通じてさらに発展されるようお祈り致します。私も河北省の出身です。河北省と長野県の友好発展と旅の円満な成功をお祈り致します。

(田中知事)
 心暖まる歓迎のお言葉をいただき感謝申し上げます。
 長野県と河北省は共に首都や大都市から近く胃袋の需要を満たす農業やIT産業などが盛んであります。また共に勤勉で質実剛健の気風を持っています。
 新世紀を迎えて、中国が政治経済の改革を進め大きな成果をあげておられることに敬意を表したいと思います。一方、明治維新以来変化発展を遂げてきた日本は今、前途を見出せず、苦悩しています。この違いは一人一人に立脚した政治・文化であるかにかかっていると思います。中国の指導者は現場から発想し行動しています。日本では、頭の中で考えるケースが多い。私は現場から、地方からの改革を掲げて取り組んでいます。勤勉な長野県民と共に、日本の制度やしくみを変える革命おこしていきたいと思います。的確な判断に基づき迅速に実践してきた中国は模範であります。フランスの大学入試に「自分自身をも他者として見る目を持ちうるか否か」という問題が出されたことがあります。これはフランスや中国に伝わる弁証法的な思考であり、日本にとって大切な問題提起であります。過去を正しく見つめ、100年200年先を見据えていく必要性を感じております。日本は世界市民であると同時に、アジアの一員であります。名番頭としての役割を果たすべきだと思います。中国の地を訪れ、王先生とお会いできたことを大変うれしく思います。

(王兆国副委員長)
 長野県の改革のご成功をお祈り致します。中国が発展を遂げたのは改革の成果です。経済から始めて、各分野に広げていきました。改革開放以来25年の間、GDPは年9.4%の成長(河北省は11.7%だそうですが)今年はSARSの影響がありましたが8%が見込まれています。税収も22.5%増、対外輸出も32%増、外貨準備高は3600億$、今年の外資導入は406億$の見込みです。改革のおかげで、発展できたことを強調したいと思います。経済は下部構造で政治は上部構造です。改革開放を進めて生産力を発展させることができました。先進的な生産力と先進的な文化、人民の根本的利益を代表するという3つの代表理論のもとに、中国共産党16期第3回中央委員会総会では経済発展と社会の進歩を主なテーマとしました。人間を基とする、詳しく言えば、人民の物質的・文化的要求を満足させる、こうしてはじめて、党や政府が人民の支持を受けることとなります。中国には大きな問題があり現在この問題解決に取り組んでいます。1つは、人口が多すぎること、労働力は7億2千万人に達します。2つ目は農業の収入の増加の幅が小さいこと、3つ目は国有企業の改革に伴うリストラの問題です。
 中日両国人民の友好を発展させることは、同時にアジアと世界の平和と発展に寄与するものと思います。過去の歴史を尊重し未来を切り開いていくことは非常に大切です。中日両国の友好を発展させることができれば、アジアと世界の平和に貢献できます。また両国の経済発展と、社会の進歩に貢献できます。河北省と長野県の友好協力の発展を望みます。

(井出正一会長)
 第4世代のリーダーである、王兆国先生にお会いでき、大変光栄に存じます。私達は長野県と河北省の友好20周年を記念しての祝賀式典や、緑化記念植樹などに出席し、本日は、ここ人民大会堂において王先生と共に平和友好条約25周年を祝っております。日中友好協会の宇都宮徳馬前会長は、日中友好は最大の安全保障と述べたことがあります。中国は2008年北京オリンピック、2010年には上海万博が開催されることとなっており、その発展ぶりは世界の注目を集めています。河北省も一層発展するでしょう。長野県も共に発展するよう努力したいと思います。日中友好と長野県と河北省の友好協力の発展に努めたいと思います。