<同友会>靖国提言発表…首相の参拝自粛と追悼碑建設を

 経済同友会は5月9日、今後の日中関係について「日中両国政府へのメッセージ」とした提言を発表した。「総理の靖国参拝の再考を求める」と、小泉純一郎首相の靖国神社参拝自粛を求めたうえで、戦争犠牲者すべてを慰霊する追悼碑建設を国に要請した。経済団体で首相の靖国参拝自粛を求める提言をまとめたのは初めて。
 提言は、新たな日中関係構築の条件として首脳レベルの交流の早期再開を挙げ、首相の靖国参拝問題が「大きな障害」と指摘。「不戦の誓いを堅持する」という首相の考えに理解を示しながら、靖国神社そのものが「不戦の誓い」の場として国民のコンセンサスは得られないとして、首相自らに再考を促している。同時に、不戦の誓いを行う場として国立追悼碑の建設を要請した。
 北城恪太郎代表幹事はこの日の会見で「わが国でコンセンサスがとれていないし、中国、韓国の十分な理解も得られていない段階で参拝は好ましくない」と述べた。
 同友会が首相の靖国参拝に反対する提言をまとめたのは、日中関係が冷え切ったままでは日本経済にも大きな打撃になるとの懸念が経済界に強まっている表れとみられる。ただ、提言への反対意見もあり、同友会としては異例の採決の末、賛成多数で提言することを決めた。【須佐美玲子】
(毎日新聞) - 5月10日