映画『再会長江』を観賞して
長野県日中友好協会広報委員長 佐野修一
中国江蘇省南京市在住の、日本人ドキュメンタリー監督竹内亮の『劇場版、再会長江』が中国と日本で上映されている。中国で微博やドウインで圧倒的なフォロワー数を誇る竹内亮が、長江6300キロを2年間かけて現地の中国人との友情を撮影した感動のドキュメンタリー作品だ。北京では、日本の金杉憲治大使、東京では中国大使館で呉江浩大使が試写会に出席した。かつてコロナ禍、『お久しぶりです、武漢』を製作した竹内亮のドキュメンタリー映画を見て感動した事を覚えている方も多いと思います。
竹内亮監督が、長江下流の上海から上流のチベット高原の最初の一滴まで、10年前のかつての友人を訪ねた草の根の交流を描いている。その中で、激動している現代中国の市井の人達との交流は、決して普段のニュースでは見ることのできない、現代中国の抱えているいろいろな面が見えている。何年かぶりに出会った中国の人達は、流暢な中国語を喋る竹内を国境を超えた普通の友人として、接し話しているのが印象的だ。途中で、車が泥沼からようやく脱出した命がけの撮影も有り、感動する内容だ。
長江とその沿岸で生きている中国人の普段の生活を、より多くの人達に知って欲しいとの思いで作られているこの映画は、国の体制こそ違うが、そこで頑張って生きている温かい人達との友情で、日本や中国でも共通の熱い感動を持つ事ができる作品だ。ちなみに江蘇省南京市は、竹内亮の中国人妻の故郷でもある。再会長江の映画から現代の中国を見ていると、そこには短期間で先進国に追いつき追い越せと頑張っている中国の光と影がよく撮影されている。また、多くの少数民族と共生して生活する日常が生き生きと描かれている。北京や上海といった都会で生活している普通の中国人から見ても、新鮮な中国の一面だ。
長江源流の高地で、羊等の放牧で生活しているチベット族の人達は、家はゲル、冷蔵庫の電気はソーラー、水は濁りのない氷河の綺麗な川から取っての自給自足の生活だ。現代人より遥かにエコな生活を実践しているのが印象的だった。