理事長就任あいさつ

長野県日中友好協会理事長  大月 良則                 

 

この度、布施前理事長の後を受けて理事長に就任しました大月良則です。歴史と伝統のある長野県日中友好協会の理事長を拝命し、重責に身が引き締まるとともに、県の国際担当部長当時から大変お世話になった皆様方と日中友好交流に取組むことができることを大変嬉しく思っております。

この2年間新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により、残念ながら日中友好交流の取り組みも中断を余儀なくされています。しかし、この2年間の中断は、私たちに人と人との交流の大切さ、友好交流の意義を改めて教えてくれたのではないでしょうか。

昨年の東京オリンピック、パラリンピックは、長野県は中国のホストタウンに指定されましたが、会場での中国選手の応援、長野県での交流の機会は得られませんでした。

今年2月に開催された北京冬季オリンピック、パラリンピックも北京や河北省張家口市を訪問し、現地で中日両国の選手に声援をおくることは叶いませんでした。しかし、北京冬季オリンピックが成功裡に開催された後、中国新華社の記者が長野県を訪れ、関係者を取材し、成功の背後にあった40年余にわたる長野県と中国との日中スキー交流の歴史を中国全土へと紹介しました。誇らしく思うとともに、先人の皆様方の取組が現在の長野県の日中友好交流の基盤となっていることを改めて認識しました。

中米の対立の激化、緊張の高まりが、日中友好交流にも影を落としていますが、一衣帯水の国、中国と日本との関係は、地政学的にも、経済的にも、文化的にも切ることができない深い関係にあります。人口減少により、国内市場が縮小する中、長野県を訪問したインバウンド観光客は、新型コロナ前には、約120万人にのぼり、中国からの観光客が約1割を占めていました。製造業を主要産業とする長野県の企業の海外進出先の全体の約半数が、中国で、日本の海外の国々との貿易額では、中国が1位で38.3兆円、アメリカの1.6倍となっています。また、信州大学では、大勢の中国人の学生が学んでいます。

かつて、尖閣諸島をめぐり、日中関係が困難な局面を迎える中、関係改善の取り組みとして北京で開催された中日省長知事フォーラムにおいて、中日友好協会唐家璇会長は、中日友好交流について、「地方をもって中央を促し、民をもって官を促す」とあいさつをされました。中日の地方自治体間の友好交流、民間交流を促進することで、政府間の交流へと発展させていく趣旨と受け止めました。

私は、日中友好交流の活動は、「平和をつぐむ活動」であると信じています。同じときを生きる日本と中国の人々が友好交流を通して、お互いを知り、仲良くし、信頼関係を築くことで、平和を守る。そして、そうした信頼関係を将来の世代へもバトンタッチし、発展させることで、平和を守る取組をより強固なものとする。

今年は、日中国交正常化50周年の記念すべき年です。ロシアのウクライナ侵攻等、世界の平和が脅かされる中、草の根の友好交流こそが揺るぎない信頼関係を構築し、平和を守る最後の砦になると信じています。

会員の減少、高齢化等内在する課題へもきちんと向き合い、会員の皆様とともに、日中友好交流の輪を広げて参ります。宜しくお願い致します。(「日本と中国」県内版94号)