日中国交正常化50年の歴史が現在の日中関係に与える啓発
日中両国の先人の皆様の努力により、日中国交正常化50周年の記念すべき年を迎えることができ、敬意と感謝を申し上げます。
私は、日中友好交流の活動は、「平和をつぐむ活動」であると信じています。同じ時代を生きる日本、中国の人々が友好交流を通して、お互いを知り、仲良くし、信頼関係を築くことで、平和を守る。そして、そうした信頼関係を将来の世代へもバトンタッチし、発展させることで、平和を守る取組をより強固なものとする。
長野県は、河北省と1983年に友好交流提携を締結し、2019年に北京市とも友好交流覚書(MOU)を締結しています。県内の10の市町村が中国の自治体と友好交流提携を結び、交流をしてきました。
長野県日中友好協会は、1956年に設立されました。大戦への真摯な反省のもと、県内には日中不再戦、平和友好を願う県民的基盤が存在しています。
日中友好交流は、新型コロナの世界的な拡大により、この2年余ほとんど交流ができませんでした。
昨年の東京オリンピック、パラリンピックは、長野県は中国のホストタウンに指定されましたが、会場での中国選手の応援、長野県での交流の機会は得られませんでした。
今年2月に開催された北京冬季オリンピック、パラリンピックも北京や河北省張家口市を訪問し、現地で中日両国の選手に声援をおくることは叶いませんでした。
しかし、北京冬季オリンピックが成功裡に開催された後、新華社通信の記者が長野県を訪れ、関係者を取材し、成功の背後にあった40年余にわたる長野県と中国との日中スキー交流の歴史を紹介しました。誇らしく思うとともに、先人の皆様方の取組みが現在の長野県の日中友好交流の基盤となっていることを改めて認識しました。
私たちは、1998年の長野冬季オリンピックの招致において、中国の友人たちから頂いた大きな支援を決して忘れていません。感謝をしています。
長野県日中友好協会は、北京オリンピック、パラリンピックの開催が決定した時に、我がことのように喜び、北京冬季オリンピック開催へ向けて、スキー交流を加速させました。長野県とともに、中国の青少年を招待してのスキー交流、競技関係者の視察、研修等の受入れを実施しました。
改めて、北京冬季オリンピック、パラリンピックが成功裡に開催されたことをお祝い申し上げます。
一衣帯水の国である中国と日本は、地政学的にも、経済的にも、文化的にも切り離すことができない深い関係にあります。
日本と中国は、「和すればともに益となり、争えばともに傷つく」関係にあることは自明の理です。同時に、両国は、大きな影響力を持つ国として、環境問題等地球規模での人類共通の課題への責任ある立場にあります。
また、翌年、北京で開催された中日省長知事フォーラムにおいて、中日友好協会唐家璇会長は、中日友好交流について、「以民促官(民をもって官を促す)、以地促中央(地方をもって中央を促す)」とあいさつをされ、日中友好交流、特に草の根の交流、地方自治体間の交流の重要性を改めて指摘をされました。
(日中国交正常化50周年記念・日中友好交流会議における意見発表2022.9.15)