戦前・戦後、2つの77年に想う 

              長野県日中友好協会副会長  西堀正司  

 本年は1972年の日中国交正常化から50年の節目の年です。日本にとって重要で大切な国、中国は急速に発展しています。しかし、日本国民の中国に対する感情は、各種調査によると、あまりよくありません。私たちは、日中友好を願い、ウィンウィンの関係作りを目指す者として大変残念に思っています。

 中国とは、2千年の友好往来の歴史があり、文字をはじめ、日本文化の源流であり、地政学的にもアジアの隣国として最も大切な間柄です。

近代に入って、日清戦争、満州事変、日中戦争と不幸な歴史がありました。明治元年から77年間、日本は「富国強兵」と「脱亜入欧」の政策で進み、最終的には、軍国主義的な内外政策を実行し、日中戦争、太平洋戦争へ突き進み、死者3百万人、経済的破綻へと至りました。中国にも1千万人の死者など多大な損害を与えました。

本年は戦後77年にあたりますが、日本は敗戦によって、新しい日本を目指して生まれ変わり、国民主権の新憲法を制定し、各種の改革を実行しました。家庭、学校、社会の変革に努力して、77年間戦争の無い、平和国家建設と国民生活の向上、世界各国との友好を目指して歩んできました。日中国交正常化は新しい歴史の1ページを開きました。今や日中貿易は我が国にとって第1位の32兆円で、これは対米貿易20兆円の1.5倍です。

明治維新以降の戦前と戦後の2つの77年を振り返り検討することが必要でしょう。次の77年、「日中友好は最大の安全保障」との宇都宮徳馬先生の言葉を胸に刻み、日中共同声明の原点、日中不再戦・平和友好を銘記しながら進みたいと思います。(「日本と中国」長野県版新年号2022.1.1)