日中国交正常化50周年記念講演会主催者あいさつ

                               長野県日中友好協会副会長 布施正幸

本日はご多用の中、日中国交正常化50周年を記念しての講演会にご来賓各位をはじめ大勢の皆様ご出席賜り感謝申し上げます。長野県日中友好協会・県日中学術交流委員会・県日中経済交流促進協議会の3団体共催での講演会は、コロナ禍の影響で3年ぶりの開催となります

1972年、田中角栄総理は国民の圧倒的な支持のもと訪中し、周恩来総理との真剣な交渉を経て、日中共同声明に調印し、両国の国交正常化が実現しました。法的戦争状態に終止符を打ち、戦後史に新たな1ページをしるしました。以来両国は、人事・経済・文化等各分野の交流を大きく発展させました。中国はこの間改革開放に舵を切り、巨大な変化と発展を遂げました。中国は日本にとって最大の貿易相手国となり、人事往来もコロナ前には、1千200万人に達しました。

長野県においても、経済、人事、文化スポーツの分野の交流を盛んに行ってきました。県が河北省と友好関係を締結しているのをはじめ10の自治体が中国側と友好都市関係を結んで交流を深めてきました。長野県は戦前、満蒙開拓団を日本一送り出し敗戦時、悲惨な逃避行の中で半数の1万5千人余りが犠牲となる歴史を体験しており、中国との平和友好を強く願う県民的基盤があります。

日中関係は、21世紀に入ると2000、0(ゼロ)年代にA級戦犯合祀の靖国参拝問題、10年代には尖閣問題が発生し、20年代にはコロナ禍による人的交流のストップと米中対立の激化による各方面の障害の増大など次々と困難に見舞われました。米中対立激化の渦の中に巻き込まれる形で、現在日中関係は、国交正常化以来最大の危機を迎えているとの指摘もあります。

国際情勢も激動している中、日本は自主的立場に立って外交努力を重ね、日中間の不安定要因を克服し、「戦略的互恵関係」を前進させるため努めてほしいと思います。私たちも、民族排外主義に陥ることなく2000年にわたる友好往来の歴史を持つ14億の人々が住む隣国中国との、相互理解・相互信頼増進に力をいれ、民間の立場から日中不再戦・平和友好の原点に立ちかえって交流に取り組んでいきたいと思います。改めて「日中友好は最大の安全保障」という宇都宮徳馬先生の教えを銘記したいものです。

 本日は、講師に現代中国研究、日中関係で活躍されている西園寺一晃先生を迎えて、「米中対立激化の中での日中関係・その現状と展望」をテーマにお話しいただきます。講演に続いて先生を囲んでパネルディスカッションを行います。グローバルな視点から日中関係のおかれている現状と課題を考える機会としたいと思います。有意義なものとなりますよう皆様のご協力をお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
(2022.10.18、国交正常化50周年記念講演会にて)