<日中関係の現況と課題>

◎2008年日中の往復貿易額・2780億ドル・人的往来500万人を突破。(1972年日中国交正常化の段階では貿易額10ドル・人的往来3000人といわれる。)「日中共同声明」(1972年)「日中平和友好条約」(1978年)の原則と精神のもと日中両国は相互交流を大きく発展させてきた。
 小泉時代の「政冷経熱」の試練を乗り越え、2006年には首脳交流を復活し2008年には「戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明」(21世紀の日中関係を律する新日中共同声明ともいわれている)を発表した。戦略的互恵関係とは、平和と繁栄の問題において相互補完、相互依存、相互互恵の関係にあることを意味している。
 GDP(国内総生産)世界第2位と第3位を占める日中両国は敵対すれば相互に傷つき、和して協力すればともに繁栄する、この道理を踏まえ、「WIN  WINの関係」を築いて行く。経済協力、青少年交流の推進や環境保全協力、東北アジアの平和維持の協力を推進しようとしている。

◎歴史的転換点を迎えている中国。社会的経済的な一大変革期。巨大国家・多民族国家としての中国、長所と短所、可能性と困難性いずれもスケールが大きい。改革開放から30年、胡錦涛・温家宝体制=「改革開放の継続・バランスのとれた発展・国際協調」→世界の工場から世界の市場へ・和諧社会の建設・四川大地震・北京オリンピック・外貨準備高世界1位(1.9兆ドル)→世界金融危機への対処・4兆元の財政出動による内需拡大策の実行。

◎文化の違いによるギャップの問題、歴史認識問題、台湾問題、後継世代へのバトンタッチの問題。21世紀の日中両国を取り巻く環境が大きく変化する中でどのように相互信頼関係を強めていくか。極端な民族主義=民族排外主義(反中ヒステリー、反日ヒステリー)の克服。

◎中国文化と日本文化の共通点と相違点
*悠久な文化交流の歴史→不幸な戦争の時代→新しいアジアの時代を迎えて「同文同種」の思い込みを脱却し、相互誤解の溝を埋め、免疫をもって真の相互理解と相互協力へ進むために
*こんなに違う中国人と日本人
 1.商人気質と職人気質、2.人間関係社会と会社社会、3.個人主義と集団公益主義、4.自画自賛と自己規制(見栄と恥)5.明快な中国語と曖昧な日本語、6.重厚な漢詩と5・7・5の俳句 ,etc.
*大切にしたい漢字文化と東洋思想(自然・大同)

<参考資料>

「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明」
注目論点&友好論壇

大江健三郎氏−−21世紀への提言

 日本人はアジア特に中国の経済と環境問題の為に役立てばいいと思っています。日本人は、今まで、経済繁栄のために、世界をアジアを利用してきました。こうした態度を転換し、アジアの政治・経済の充実の為に働ければと思います。
 人口問題を考えるだけでも次の百年間では中国がいちばん大きな困難な場所になるでしょう。しかし、いちばん大きな希望の場所にもなり得るかもしれません。中国がうまく行けば、21世紀を生き延びる良いモデルができると思うし、それを願っています。
 日本の民主主義が後退し、ナショナリズムが前進してしまうことを心配しています。教科書問題でも戦争犯罪を忘れ、歴史の汚点を消してしまおうとしていますが、それには全く反対です。子供たちに日本が中国を侵略したことや南京の虐殺について教えればいい。広島や長崎でどういう苦しみを味わったかも教えればいい。その上で、立ち上がってきた日本人というものを誇るべきだと思います。
 そのためにはやはり、今の民主主義、戦後の民主主義を大切にする態度を持たなければなりません。ところが、今、社会から民主主義の気風が無くなってきています。個人の内面の民主主義は決して失われていないと思いますが、社会の民主主義、たとえばデモなどは弱くなった。民主主義が衰えれば、日本はまたもしかしたら超国家主義の国家になるかもしれない。ゆるやかなナショナリズムから超国家主義に移る時間はナチスを見ても非常に短いのです。注意しなければなりません。


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