県協会創立60周年を迎えて
長野県日中友好協会 会長 高波謙二
長野県日中友好協会は1956年9月、県連合会としてスタートしました。これは日中国交正常化からさかのぼること16年前でした。半田孝海初代会長はじめとした先輩の皆様の並々ならぬご尽力によって、協会は様々な困難を乗り越え、本年で60周年を迎えました。多くの皆様のあたたかいご支援とご協力の賜物と深く感謝申し上げます。
満蒙開拓団を戦前日本一送り出し、半数の1万5千人が悲惨な最期を遂げた歴史の反省から、県内には日中不再戦・平和友好を願う県民的基盤が広く存在しております。22の地区協会と2千人の会員を有する全国屈指の協会として自他ともに認められています。こうした基礎の上に県協会は工夫を凝らし、県や各分野の団体と手を携えて友好交流実施団体を設立し交流を進めています。県日中学術交流委員会、県日中経済交流促進協議会、県日中スキー交流委員会などが活躍しております。また中国国際放送局と提携しての長野ラジオ孔子学堂中国語講座や、満蒙開拓平和記念館は平和と友好のメッセージを発しております。
多くの会員の皆様のボランティア精神のすばらしさと、近年長野県政の積極的な姿勢は協会活動に大きな励みとなり官民の協調は全国に誇れるものであります。
21世紀に入って、世界は激動を続けており、日中関係もこの10年間を見ても大きな変化と試練に直面しました。実質的に棚上げされていた尖閣問題は両国関係に鋭い亀裂を生み、結果として日中両国民間の好感度は大きな打撃を受けました。
一方において、両国は戦略的互恵の関係にあることも周知の事実であります。日中関係の安定的発展を実現するには、国民同士の相互信頼関係が最も重要です。300を超える友好都市の交流、最も多い貿易取引、文化の共通性、他国に例を見ない民間友好運動の存在などに目を向け、私たちは私たちにできる世代の責任を自覚しながら、民間交流を粘り強く進めていきたいと思います。
日中関係は現在重要な局面を迎えております。日本と中国は「和すればともに益となり、争えばともに傷つく」関係にあることは、自明の理です。深い歴史的かかわりを持ち、また最大の貿易相手国でもある中国とは、文字通り、隣国同士仲良くしていきたいものです。
私は4月河北省政府、省人民対外友好協会の招きで中国を訪問しました。河北省での熱烈な歓迎と、県協会の成立60周年をともに祝っていただいた情景は忘れることができません。深い友情を実感致しました。また、9月には、唐家璇中日友好協会会長がわざわざ長野にお越しいただき、県協会の活躍を評価し激励いただきました。この上ない栄誉であり、感動をおぼえました。
60周年は一人協会の喜びであるだけでなく、県民的に祝賀すべき慶事であります。井戸を掘った方々の思いを引き継ぎ、新たなる一歩を踏み出したいと思います。