(資料)
国民は国に再びだまされぬよう
                               森田恒雄(元県議・飯田日中友好協会会長)

 故森田恒雄・飯田日中会長の急逝を悼み謹んでご冥福をお祈りします。6月28日に事故でなくなられた森田さんは長野県会議員時代を含めると、実に30年間にわたり飯田日中友好協会の副会長、会長として日中友好運動に尽力されました。とりわけ満蒙開拓平和記念館設立には、多大な尽力をされました。
 亡くなる前日、信濃毎日新聞の読者投稿欄「建設標」に「国民は国に再びだまされぬよう」という一文を投稿されていました。7月1日に掲載されましたが平和を心から望んだ森田さんの遺言のような文章でした。
 7月5日飯田市で行われた森田さんの告別式・葬儀には1500名のゆかりの人たちが参列して、森田さんを偲びました。森田さんの思いを凝縮した一文をここに紹介しその思いを心に刻みたいと思います。(合掌)

 映画「望郷の鐘」は満蒙開拓団の死の逃避行、戦争の悲惨さを伝え、「中国残留孤児の父」と呼ばれた山本慈昭さんの生涯を描いた映画です。山本さんを演じた内藤剛志さんが「国が国民をだますのも悪いが、だまされるのもいかん」と訴えた言葉が、今の安倍政権の政権運営と重なり、国民がまた、だまされそうになっていると思えてなりません。
 
 「不戦の誓い」をした憲法9条、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負うとある99条も無視した言動を黙視しているわけにはいきません。NHKの籾委勝人会長が以前、政府の方針と違った報道はできないと受け取れることを述べ、最近は作家百田尚樹さんが沖縄の新聞2紙はつぶせなどと発言していることは、許してはならないと思います。
 
 県内の市町村議会で安保法案の廃案や慎重審議を求める意見書が可決されています。政府は民意を尊重すべきで、安保法案の撤回を強く求めます。そして阿智村の満蒙開拓平和記念館へ来て、残留孤児・婦人の悲痛な証言を聞いてもらいたいと思う昨今です。(2015・7.1信濃毎日新聞「建設標」より)