尖閣問題でオバマは安保適用だけに言及した訳でない。他に3点、報じないマスコミ
201404/25 孫崎享のつぶやき
尖閣問題でオバマは安保適用だけに言及した訳でない。他に3点。何でしょう。報じないマスコミ。 A領有権中立、 B事態エスカレートさせるな、C(米国が武力行使するかどうかの)レッドラインは引かれていない。 |
日本のメディアは尖閣問題について「安保条約の適用になる」とのみ報道しているが、4つの点を発言している。うち3つについてほとんど関心を払っていない。
4つのポイントは次の通り。
@ 尖閣諸島は安保条約の対象になる。
A 領有権問題については日中のどちら側の立場も取らない。
B 事態をエスカレーションする措置は取るべきでない(日中双方に適用)
C (米国が武力行使するかどうかの)レッドラインは引かれていない。
安保条約の対象にする=参戦を意味しないことは幾度となく述べてきた。この関係でC「(米国が武力行使するかどうかの)レッドラインは引かれていない」と述べたことは意義がある。オバマ大統領は例えばシリア情勢に関して、この一線を越えたら軍事行動する(red line)を示してきている。23日付WASHINGTON TIMES紙は「Obama avoids ‘red line’ for China」の標題で報じている。
@ は日本側の要請である。安倍政権筋がこれを大々的に宣伝したいとするのは解る。しかし、日本の報道機関をABCを合わせ報じ、米国の態度の全体像を示すべきである。特にBは現実の政策として、日本に対しても苦言を呈する台詞のはずである。
A B、Cを意図的に外す日本の大手メディアは完全に安倍政権の御用メディアに成り下がっている。
24日19時のNHKニュースでは安保条約第5条(第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する)をわざわざ、重要な条件、「自国の憲法上の規定及び手続に従って」を除いて、紹介している。重要性に対する無知なのか、知っていて意識的に除いているのか。私は後者と思う。
参考:24日時事通信のオバマ大統領発言についての報道
(大統領 日本の施政下にある領土は、尖閣諸島を含めて、日米安全保障条約第5条の適用対象となる。領有権に関しての立場は示さない。(米国が武力行使するかどうかの)レッドラインは引かれていない。事態がエスカレートし続けるのは正しくない。中国は世界にとって重要な国だ。国際的な秩序と法を守る責任がある。)