東京五輪まで7年、問われる日本の”進路”

                              長野県日中友好協会理事長 西堀正司

 東京五輪・パラリンピックの2020年開催が決定した。あと7年である。
 スポーツ競技を通じて平和を創る。平和の祭典、青年の祭典だ。
 近代五輪が始まってから約117年が経つ。この間、日本は近代化のもとに富国強兵を目指した。アジアで唯一、西欧的政治体制を試みて、一定程度の進捗を完成させた。
 大正デモクラシーといわれる時期もあり、その後は軍国主義体制へと移行。朝鮮、中国などのアジア諸国に対し侵略的な舵を切り、その結果、1945年に完全に敗北した。
 戦後、日本は米国の統治下で再生を図り、国民は新憲法の下で厳しさからの脱却を目指し奮闘、努力した。経済力(GDP)は世界第2位になった。
 今7年後の五輪開催を目前にして、日本の”進路”が問われている。65年あまり続いている現憲法体制か、56余年続いた旧(明治)憲法体制か。それとも別の方向か。
 先日、筆者は第九回東北アジア博覧会に参加した。吉林省の省都長春に集まったのは、中国、韓国、ロシア、北朝鮮、モンゴルと日本の6カ国で盛大に行われた。この6カ国とASEANの10カ国が未来を展望すれば、世界をリードする地域と注目されるだろう。
 昨年から日中、日韓関係が悪化している。このような情勢では、日本の将来、東京五輪の成功は展望できない。近隣諸国との関係を良好にする政治が求められている。(「日本と中国」13.10.1号)