覇権反対・平和友好築こう

                   県日中友好協会理事長 西堀正司

 新年おめでとうございます。旧年中は、日中友好事業にさまざまな形で積極的に参加いただき心から感謝申しあげます。

 昨年は日中国交正常化40周年に当たり、日中両国政府は「国民交流友好年」と決定し、2月には日本政府と民間団体代表が出席してその発会式が行われ、私も民間代表の1人として参加しました。

 1972年から40年間に、日中間の人事交流は500倍の年間500万人に、経済貿易額は300倍の3400億ドルと大きく伸びました。友好都市締結も300組を超え、多様な交流が行なわれるようになりました。日中両国は相互依存関係を深め、運命共同体的な密接な間柄となってきたのです。

さまざまな友好記念事業が計画され順調に実行されはじめた矢先、4月に突然、石原都知事がアメリカにおいて尖閣諸島購入を発表、日中関係に影がさしはじめたのです。その後9月に国が購入する計画に変わると状況は一変していきました。9月12日からは中国国内で、島国有化に反対する「デモ」が拡大し状況は悪化、9月18日にはその参加者は100万人にものぼりました。

40年間の友好協力発展を恐れた一部の政治家が仕組んで島問題を起こし両国国民の民族感情を刺激し、日中関係に大きな損害を与えました。昨年9月以降の交流は、中止または延期となりました。事態はその後徐々に平穏さを取り戻してきましたが、誠に残念です。

新しい年は、日中平和友好条約35周年、長野県と河北省友好提携30周年に当たります。日本も新政権となり、中国も18回党大会を経て3月の全国人民代表大会で正式に新政権が誕生します。両国政府指導者は真剣な対話を行い責任を持って問題の解決に取り組むことを期待します。相手の立場をお互いに考えて交渉すべきであり、覇権反対という平和友好条約の精神にたって歩み寄るべきです。私はかねてより両国関係を発展させる中で島問題を小異にすべきだと提案してきましたが、今こそ声を大にして訴えたいと思います。

私たちは、新しい気持ちになって、この困難を乗り越え、相互信頼と友好協力を回復させるため民間としての努力をかたむけていきたいと思います。長野県としても、昨年8月の北京での友好都市卓球交歓大会の成果を踏まえて、河北省などから中学生卓球選手を招いて卓球交流大会を計画したり、知事を代表とする県民の翼訪中団を派遣するなど交流のイベントを推進したいと思います。また歴史を顧みて、強制連行殉難中国人慰霊祭の開催、「満蒙開拓平和記念館」開館に取り組んで行く計画です。民間の力を結集して、県民ぐるみ、市町村ぐるみの友好事業を行う前進の年になるよう皆様のご協力を切にお願いいたします。