<年頭にあたって>日中平和友好条約35周年、平和友好の誓い新たに

長野県日中友好協会 会長 井出正一

 新しい年が佳い年でありますよう、特に日中関係にとってそうあって欲しいと思います。

 昨年は日中国交正常化40周年という記念すべき節目の年であったにも拘わらず「尖閣諸島問題」を巡る対立をきっかけに、両国関係は先人の努力が水泡に帰すのではないかと思われるような厳しい年となってしまいました。かつて次世代の英知に委ねる「棚上げ論」を唱えたケ小平氏の期待にわれわれ世代は応えられておりません。

 一昨年の秋、尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件によって、日中関係がにわかに緊迫したさなかに人民大会堂で開催された日中友好協会創立60周年の大祝賀大会の席で、宋健中日友好協会会長が「中日友好関係の発展は依然として任重く、道遠しであり、目標を達成するため引き続き努力していかねばなりません」と言われたことが改めて思い出されます。「戦略的互恵関係」はまだまだ如何に脆いものであるか痛感されます。

 日中共同声明に、両国は「全ての紛争を平和的手段によって解決し、武力または武力による威嚇に訴えないことを確認する」と明記されている平和的手段とは、外交交渉であり、妥協点を見出すことであります。そのためには、双方の統治者が安定した政権基盤と国民の信頼の上にあらねばなりません。そうなるには残念ながら双方ともかなりの時間が必要に思えます。

 とするならば、私たちは日中関係の両国間、さらにアジアと世界の安定と平和にとっての重要性を再確認したうえで、右顧左眄することなく足元を固める運動に地道にとりくんで行くべきだと考えます。そういう意味では、昨年もわが協会は飯田日中を中心にした「満蒙開拓平和記念館」の起工、北京で開催された日中友好都市中学生卓球交歓大会への6チームの参加と2組のブロック優勝(長野市−石家荘市、松本市−廊坊市)、県女性委員会による『虹の架け橋』第3集の発行等々恒例事業のほかに盛りだくさんの意義ある事業、活動が展開されましたし、何よりの朗報はこの時期に新しく軽井沢日中友好協会が設立されたことです。それぞれ当事者の皆さんのご労苦と共に、関係各方面の皆様のご理解とご支援に感謝します。

 今年は日中平和友好条約35周年であるとともに、長野県と河北省の友好提携30周年になります。阿部知事を先頭に、我が協会も大訪中(応援)団を組織して、冷え切った日中関係を解きほぐす役割を果たしたいものです。