尖閣問題に対する孫崎享氏の注目されるコメント


*『戦後史の正体』はとにかく面白い。目からうろこの本でした。その著者の孫崎氏は尖閣問題でも注目される論評を発表しています。氏は元外務省国際情報局長。

著書:7月末2つの本。『戦後史の正体』、更に原発・TPP中心のツイッターを集め、漫画・解説加え国民の広い層に訴える『転ばぬ先のツイ』。すでに発刊は『不愉快な現実』『日本の国境問題ー尖閣等』『日本人のための戦略的思考入門』『情報と外交』『『日米同盟の正体』、『日本外交 現場からの証言』(第2回山本七平賞受賞)




この人に聞きたい│孫崎享さんに聞いた(その1)日中領土問題で得をしたのは誰なのか?


◎尖閣:米国学者あざ笑っていた「尖閣諸島の棚上げは中国が日本の管轄を認めることでしょう。その合意を日本側がないと、自ら有利な状況を捨てる、馬鹿じゃないですか」。でもそれが日本の世論なのです。煽られて、理性的判断出来ないのです。(2012.11.9)

◎尖閣諸島・時代の変遷;このtwitterで79年5月31日付読売新聞の「尖閣問題を紛争のタネにするな」を紹介した。棚上げ方式について「日中双方共領土主権を主張し、現実に論争が存在することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つ事で日中政府間の了解がついた」「文書はなくとも政府対政府のれっきとした約束事であることは間違いない。これを遵守するのが筋である」「今回の(日本側による)魚釣島調査は誤解を招きやすいやり方だった」。この論調が読売新聞であったことに意義がある。日本政府、外務省、マスコミ、これらが棚上げ方式が日本国の利益になる事を皆了解していた。今はどうだろう。政治家の誰が棚上げを主張できるか。外務官僚の誰が主張できるか。マスコミ、学者の誰が主張できるか。皆怖がっている。この恐ろしいまでの日本社会の右傾化はそら恐ろしい。見通しのないままただただ「俺のもの」と主張する。海保の水放射も、自分の区分の貫徹でいいと思っている。エスカレートして武器使用になったらどうするか。担当外なので失礼します。石原知事も同じだ。購入呼びかけた。エスカレートで失礼します。皆自分の狭い分野で正義を貫けば正義と思ってる。79年の読売新聞社社説をみて、日本社会の劣化に愕然とする。(2012.9.27)
◎尖閣:読売新聞まともの時代もあったのだ。日本今何故かくも戦闘的な国家になったか。1979年5月31日読売社説「尖閣問題を紛争のタネにするな」。「日中平和友好条約で領有権問題は“触れないでおこう”方式で処理された。日中双方共領土主権を主張し、現実に論争が存在することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つ事で日中政府間の了解がついた。それは共同声明や条約上の文書になっていないが、政府対政府のれっきとした“約束事である”ことは間違いない。約束した以上はこれを遵守するのが筋道である。園田外務大臣は「我が国は刺激的、宣伝的な行動は慎むべきだ」と国会で答弁した。それが日中間の了解事項に沿う姿勢だと思う。今後とも尖閣諸島に対して慎重に対処し、決して紛争のタネにしてはならない。」読売新聞1979年頃、尖閣で紛争するなと主張。何故変わったか。背景に米国。日中間を緊張させ自衛隊の傭兵化を進める。マスコミが煽り、世論が踊る。(2012.9.25)

◎日中関係:ある識者の緊急メッセージ「(日本の輸出は対中が対米より大の状況下)日本製品の中国市場への輸出が滞ることになれば日本企業に大打撃。赤字企業続出し、日本株大幅安、日本発の世界経済への悪影響が憂慮される状況。尖閣で火遊びしている余裕はとてもないのが経済の現状」経済界何故沈黙。(2012.9.24)

◎尖閣・棚上げ;日中双方が主権を主張するから棚上げが意味なくなる訳でない。主張が強まれば強まるだけ、紛争を避ける手段としての「棚上げ」の価値が高まる。(2012.9.23)




◎尖閣:領有権主張と棚上げ放棄とは同じでない。双方が領有権主張の事態の下で放置すれば互いに主張を強め軍事紛争発展の危険、だから当面棚上げ。緊張を煽り米国隷属強めたいグループは、日本が棚上げに合意した事実はないとして、中国を尊重しない方向に追い込んでる。危険な輩を何故世論が見抜けない 。(2012.9.14)

◎尖閣;日本国内法で粛々と行えば、中国も国内法で粛々とするようになる。尖閣は「双方が領有権を主張する係争地であり、紛争激化しないため、新たな措置とるのを避ける。それを棚上げ」この英知を理解しない日本、意図的に壊す政治家(前原、石原)、緊張高め自衛隊の米軍隷属化推進を図る米国と隷属者。(2012.9.14)

◎尖閣;日本の対応、論の最大の欠陥は「日本が主権確保に粛々と行えば、主権主張の中国は看過出来ずそれ以上の行動を取る」点を勘案していないこと。13日人民網阮宗沢論評「中国政府は”理に適い、有利で、節度ある”の原則に基づき、一連の強力な反撃措置を打ち出す。断じて手加減はしない。」 (2012.9.14)

◎尖閣・竹島等:領土問題に対処する9の原則提言(『日本の国境問題』)
①相手の主張を知り、自分の言い分との間で各々がどれだけ客観的に言い分があるかを理解し、不要な摩擦はさける、②領土紛争を避けるための具体的な取り決めを行う。例―中国ASEAN間「南シナ海の行動宣言」(領有権紛争は、武力行使に訴えることなく、平和的手段で解決する。現在(当事国に)占有されていない島や岩礁上への居住などの行為を控え、領有権争いを紛糾、拡大させる行動を自制する。③国際司法裁判所に提訴するなど解決に第三者をできるだけ介入させる。④緊密な多角的相互依存関係を構築する。⑤国連の原則を全面に出す(武力による威嚇又は武力の行使を慎まなければならない)⑥日中間で軍事力を使わないことを共通の原則とし、それをしばしば言及することにより、お互いに遵守の機運を醸成する。1978年の日中平和友好条約第一条で「すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えない」、⑦第七に、現在の世代で解決出来ないものは、実質的に棚上げし、対立を避ける、⑧第八に係争地の周辺で、紛争を招きやすい事業につき、紛争を未然に防ぐメカニズムを作る日中間には漁業協定、⑨係争になりそうな場合、幾つかの要素に分割し 各々個別に解決策を見いだす、海底管轄権、漁業管轄権、保存権および航空権を個別的に処理する合意。」尖閣・竹島等最も重要なことは、「固有の領土で領土問題はない」との立場ではなく日中・日韓が各々領有権を主張している地域であることを認識し、紛争を避けることを主眼に対応 (2012.9.6)


◎山口一臣様・尖閣諸島:昨日は尖閣問題でBS11にお招き戴き、棚上げ論の利点を視聴者に充分説明する機会を戴き、有り難うございました。お蔭で「日本の国境問題」がamazon注文急増、今、29位です。出版社とても予想しなかった数字です。有り難うございました。(2012.9.6)

◎尖閣諸島:石原知事、火遊びの玩具取り上げられる。国民もそのうち弄ばれたことに気付くだろう。私利で領土持て遊びは韓国李明博大統領と同じ。寄付金どうなるのだろう。5日読売「尖閣売買、地権者が国と合意…都を通さず購入へ」(2012.9.5)

◎尖閣:石原:尖閣諸島で火遊びすれば世論が支持すると判っている。尖閣問題浮上の前は石原知事なんて全くの死に体だった。弄ばれる国民。石原知事は火遊びの手がかり国に与えたくない。2日産経「石原知事、仲井真沖縄知事と会談の意向 尖閣共同購入提案か」(2012.9.2)

◎領土問題:全ての出発点はポツダム宣言で「カイロ宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ」。これが各々の領土にどういう影響与えたかの論点日本に欠如。「固有の領土」論はこの部分欠如。固有で意識的に敗戦影響から目逸らす。(2012.9.1)

◎中国脅威論:今日のNHK「ニュース深読み」の意見交換で加藤解説委員は次を紹介。1978年日中平和友好条約「全紛争を平和的手段で解決し武力又は武力威嚇に訴えないことを確認する」。中国脅威論を煽るが、日中にはこうした約束存在。合意を互いに守る気運を育む努力が最も肝要(2012.8.31)

尖閣・扇動・石原:煽るだけ煽っている。石原知事と韓国大統領と何処が違うのか。動機は完全に一緒。安全をさも大冒険のように宣伝。紛争種をまいて自分の政治人気を上げる。24日「石原知事、10月にも尖閣上陸へ”逮捕も結構”」国民側、踊らされてること、知る時期だ。(2012.8.24)