2010年度活動報告

 311日の大震災は巨大地震・巨大津波・原発事故と甚大な被害を及ぼし、多くの尊い人命を奪い、おびただしい人々の生活基盤を破壊しました。被災された中には多くの友好の仲間・友人がおり、また中国留学生・実習生・華僑・帰国者の皆さんもおられます。犠牲になられた皆様に心から哀悼の意を表し、被災された皆様にお見舞い申し上げます。このたびの大震災に対して、中国をはじめ諸外国から心のこもったお見舞い支援が届いていることは私たちを深く感動させます。

 大震災によって、時の流れに劇的な断絶が生まれていますが、私たちは友好の明日のためにこの激動の1年を振り返りたいと思います。

 昨年は日中友好協会創立60周年にあたりました。協会は日中関係の持つ重要な意義をアピールし、日中の相互信頼、平和友好、共同繁栄に努めました。こうした中で9月に尖閣沖での漁船衝突事件が起きました。この事件を契機に日中関係は大きな困難に直面しました。日中関係の悪化、特に国民の対中感情の低下は多くの心ある人々を悲しませました。しかし、昨年の対中貿易が26.5兆円と対米貿易を大きく引き離している現実を見ても日中両国の協力提携は不可欠です。日中関係は関係者の努力によって徐々に改善の兆しを見せていきました。

昨年12月、戴秉国(たいへいこく)国務委員の「中国はあくまで平和発展の道を歩み、覇権を求めない」との外交指針が発表され、1月には、唐家璇(とうかせん)前国務委員が「確固として中日の戦略的互恵関係を推進しよう」との日中関係の再構築に向けての真摯な方針を提起しました。協会や多くの心ある人々にとって嬉しい動きでありました。2月にはパンダが上野動物園にやってきました。これも久々の嬉しいニュースでありました。震災に対して、中国がいち早く支援をしてくれたことも国民感情を近づけてくれることでしょう。

建国60年を経過した中国は、歴史的転換点にあって急速な変化と発展を遂げており、多くの矛盾や困難を抱えながらも、外貨準備高世界1位、GDP第2位、世界経済再生の牽引車としての役割を期待されるなど国際社会における比重を高めております。春の全国人民代表大会では第12次5カ年計画を採択し、格差の是正や政治体制改革などを主要課題に取り上げてきています。

 県協会は日中友好協会創立60周年にあたり10月の北京人民大会堂での記念祝賀会には全国1200名の仲間とともに長野県から175名が参加しました。あわせて中国雑技団長野公演、「周恩来と日本」展、60周年記念講演と祝賀のつどいを実施したほか、中国留学生ホームステイ、中国高校生受入など諸事業を関係各位のご協力をいただき成功裏に実施することができました。また中国国際放送局と提携しての長野ラジオ孔子学堂中国語講座も第3期を迎え、事務所も4階に移転し展示ホールなどができました。組織・財政問題など課題はたくさんありますが、貴重な歩みを刻んだ1年でありました。

今年は辛亥革命100周年、満州事変80周年の年に当たります。歴史を回顧するとき、日中が和して協力すれば、両国民は幸せとなり、憎しみ争えば、不幸となることは明白です。

新興国の勃興、中国GDP2位は世界の現実です。時代の転換期にあって日本はこれを冷静に受け止め、アジアや中国に日本としての誇りと謙虚さと友情をもって臨み、新時代の新しい枠組みを作って行くときでありましょう。  (以下略)