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日本の米支配脱却に期待 「東アジア共同体」支持
マハティール氏(マレーシア元首相)

http://img.47news.jp/PN/200910/PN2009100801000570.-.-.CI0003.jpg マレーシアのマハティール元首相(83)は7日、クアラルンプール近郊で共同通信のインタビューに応じ、東アジア共同体構想を掲げる鳩山由紀夫首相の下で日本外交が「米国の支配」を脱し、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国による「東アジア経済共同体」の実現に指導力を発揮するよう期待を表明した。

 政治、経済など幅広い分野で連携し、東アジアの共存と繁栄を目指す同構想は、マハティール氏が1990年代初めに提唱した「東アジア経済会議(EAEC)」が原型。同氏は鳩山首相がアジア重視や対等な日米関係を掲げていることを「支持する」と言明し、「われわれは日本が米国に支配されているとの印象を持っていた」と述べた。

 東アジア共同体の枠組みについて、日本の前政権などは中国の影響力を薄めるため、ASEANプラス3(日中韓)にインド、オーストラリア、ニュージーランドを含めるよう主張。これに対し同氏は「オーストラリアとニュージーランドは除外するべきだ。欧州人の国で政策も欧州諸国と同じ。心はアジアにない。含めれば、米国主導のアジア太平洋経済協力会議(APEC)と同じになる」と強調した。

 その上で同氏は「中国は大国で豊な経済を実現しており、共同体で大きな役割を果たせる。好き嫌いにかかわらず、われわれは中国とともに生きていくしかない」と指摘。インドは「跡に加えられる」と語った。

 また、EAECと現在おこなわれている「ASEANプラス3」会議、東アジア共同体構想は「基本的に同じだ」と説明。鳩山首相の姿勢が鮮明になった以上、米国の圧力を受けて考案された「プラス3」の名称をやめ、「東アジア経済共同体」の公式会議として定期開催すべきだと主張した。

<現役時から一貫主張>
  歯に衣着せぬ欧米批判で知られてきたマレーシアのマハティール元首相は、現役当時から一貫してアジアの復権と東アジア共同体の樹立を主張してきた。

 首相在任中の1990年代初め、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国による単一市場を目指す東アジア経済会議(EAEC)を唱えた。欧州連合(EU)や北米自由貿易協定(NAFTA)による地域経済統合が加速する中、「アジア諸国がまとまらなければ、欧米の圧力に抵抗できない」との思いからだった。

 日本と韓国を手本とするルックイースト政策で知られるマハティール氏。「現段階なら中国も手本となる」と、中国の成長に注目する。「欧州は(マレー半島の)マラッカに到達し、2年後には征服した。一方、中国はわれわれと千年間貿易をしてきたが、征服しなかった。EAECも唯一支持した」と評価した。

 東アジア共同体構想を打ち出し、政権交代を果たした鳩山由紀夫首相には期待感とともに賛辞も送った。また同共同体に向けた協力のため、日中韓は「先の戦争の過去を忘れるべきだ」と断言した。
写真はインタビューに答えるマレーシアのマハティール元首相=7日、クアラルンプール近郊(共同)
【クアラルンプール共同】2009・10/7