四川大地震募金にとりくんで思う

                           上田日中友好協会会長 成沢 捨也

 長く日中間の外交問題は政冷経熱と評され、両国間の大きな懸念事項ではありましたが、ようやく氷が解け始め、昨年は温家宝首相の来日、続いて五年ぶりに胡錦涛国家主席が来日され、戦略的互恵関係に更なる前進が両国首脳によって確認されました。国交正常化に向け新たな前進を見たことは、私たち日中友好協会においては、大きな喜びであり、更なる日中友好に向かって誓いを新たにしたところです。

 時あたかも中国国家主席が日本訪問日程を終えてお帰りになった翌日五月十二日、中国四川省にマグニチュード八・○の大地震が発生し、そのニュースが報道されました。その惨状はテレビ新聞等に報道される度に被害が拡大し、被災者の増大に憂いをなし、我が事のように心を痛める日々でした。五月十五日第四十六回県日中友好協会定期大会において、中国の四川大地震に対する募金による支援活動の緊急動議が提案され、県下各支部でも、隣人同士の人道的な見地からも、被災者の支援や復旧にいささかなりともお役に立ちたい思いで、早速上田日中の役員会を開催し、五月十八日から募金活動に取り組みました。駅前にての街頭募金を役員が交代で十日間実施、又信州大学中国人留学生も応援に毎日来られ、更に市当局にも働きかけ、各地域自治センターに募金箱を設置して頂いたり、又、市職員労働組合も協力の申し出を頂きました。私たち日中の運動が理解された事は大きな喜びでありました。 

 又、感動した例を申し上げます。一例として、私たち日中は二十年来帰国者の激励交流会を開催しておりますが、その交流会に募金をお願いしたところ、我先にと中国にお世話になったからと、全員の参加者から温かい協力を頂いたこと。二例として、街頭募金の時に、車椅子の障害者の方が、少々ですがお役に立てて下さいと募金して下さいました。自分の身体が不自由の身でありながらなんと心の広い温かい人なんだろうと有り難さについ胸を詰まらせる思いがいたしました。三例として、八十八歳の祖母が先日亡くなり、簡素な葬儀をした折に、一三五名の弔問者があり、一人千円の香典で十三万五千円ありました。昔おばあちゃんが大連に居たことがありましたので、どうかこの香典をお役に立ててくださいと温かい申し出を頂いた事。四例として、街頭募金の協力者は年齢に差はありませんが、特に今の若者はと世間の方は言われますが、高校生の多くの皆さんが少ないけれどと募金して下さり、頑張って下さいと激励の言葉を頂いたりしました。これからの日中友好はこのような若者によって引き継がれていくことを願うとともに、日中間の青年交流の大切さを痛感しました。

 国は外交を通じて今回の中国大地震に救援の手を差し伸べておりますが、私達は民間外交としてお互いに助け合い、互恵関係の強化になればと、今回の募金活動もその一助と考え、懸命に活動させて頂きました。

 上田日中の募金金額は県日中へ送金いたしました総額一、七二二、七七○円であります。被災された皆さんは一日も早く精神的にも肉体的にも立ち直り、従前の生活に復帰出来ますことを心より願っております。御協力頂きました皆さんに心から感謝申し上げます。有難うございました。

(「日本と中国」長野県版08.8.15号)