「お互いの立場を思いやる心が日中関係を前進させる」

2月に天台宗第256世座主に就任した
半田孝淳さん 
天台座主、(社)日中友好協会顧問、長野県日中友好協会最高顧問

半田孝淳さん 天台座主、(社)日中友好協会顧問、長野県日中友好協会最高顧問 全国約3000の天台寺院の頂点。「片方が手を挙げればもう片方も手を挙げて戦争になる。穏やかな心で手を結び合わなければ」平和を説く声に89歳とは思えない力が漲る。
 30年前、長野県各界代表団の一員として初めて中国へ。以来、日中国交回復15周年訪中団や中国仏教界との交流などで訪中を重ねること20数回。画家の傅益瑤さんをはじめ中国各界に知己を持つ。中国仏教協会の故趙樸初会長とも親交が厚く、住職時代に上田市常楽寺の温泉に招いたことは懐かしい思い出だ。
 中国人殉難者の遺骨送還事業に携わった師父・孝海の「平和に尽くして生きろ」という言葉を胸に刻んだ。「日中交流は人と人とのふれあい。お互いの立場を思いやる心が日中関係を前進させる」
 実現に奔走した「比叡山宗教サミット」は今夏、20周年を迎える。中国をはじめ世界中の宗教代表者たちが比叡山延暦寺に集い、平和のメッセージを発する。「継続は力」「相手を理解するには直に合って対話を重ねること」が信念だ。
 座右の銘は悩みがあっても人には和やかな笑顔で話す意の「和顔愛語」。「来年はまた中国へ行きたい。行くこと自体が絆になる」



(はんだ こうじゅん)1917年、上田市生まれ。常楽寺住職、曼殊院門跡門主などを歴任。上田市では保護司を務めるなど社会活動に尽力。故パウロ2世と昵懇の間柄で、「世界宗教者平和の祈りの集い」に16回出席。核兵器廃絶を訴え続けている。温厚な「半田スマイル」で知られる。