<日中国交正常化35周年
 好循環の環境を活かし相互信頼協力を深めよう

   日中関係は昨年10月の安倍首相の訪中を契機に大きく改善され、4月には温家宝首相の訪日も予定されています。戦略的互恵関係を深めていくことが両国政府間で合意されており、国交正常化35周年を真に相互信頼と友好協力関係を発展させる年としたいと思います。政府間では日中文化スポーツ交流年としての位置づけが為され、日中友好都市小学生卓球交歓大会や大規模な高校生交流をはじめ様々な記念事業が計画されています。
 日中共同声明の原則を踏まえ、日中関係を好循環の軌道に乗せ、官民一体となって各界の力を結集して平和・友好・共生の日中関係の再構築発展に努めたいものです。
 日中両国が日中戦争とその後の敵対の歴史に終止符を打ち日中関係の新しい扉を開いた国交正常化の意義を再度確認し、合わせて歴史的転換期の中国との友好協力関係をどのように深めていくかその前途を見極めていく非常に大切な1年となるでしょう。35年の成果を活かし、なおかつ新しい時代にマッチした両国関係・両国国民関係をつくっていくことが求められています。両国ともに過激な(偏狭な)民族主義が台頭している中でのこの努力は一定の困難を伴うでしょうが、日中両国民にとって過去の悲劇を繰り返さないために重要な課題でありましょう。
 「日中友好は最大の安全保障」との宇都宮徳馬先生の名言は、裏返せば日中関係が危機に陥れば、日本の平和と繁栄はないということです。昨年の往復貿易額2044億ドルと3年連続対米貿易額を抜きました。戦略的互恵関係とは平和と繁栄の問題で両国が互恵の関係にあるということにほかなりません。幸い、「政冷経熱」から「政温経熱」に転じた両国関係は、両国民の信頼関係回復(嫌中・嫌日感情の克服)にも春風を送ることとなるでしょう。
 国際情勢も、アメリカの新保守主義の敗北以来、対話協調路線への変化が顕著になってきました。今年は盧溝橋事件70周年の年にあたりますが歴史問題などで「恥知らずな日本人」との評価を定着させないためにも、正しい歴史認識(侵略の歴史をありのままに認識する勇気)をもって、中国や韓国をはじめアジアの人々との友情を育んで行きたいものです。
 具体的交流に取り組み、日中両国民間の友好信頼関係の再構築に努め新たな発展を目指しましょう。後継の壮年世代・団塊の世代・青年世代に日中友好の意義を語り、協会への参加を呼びかけ、日本にとって重要な意義を持つ日中友好事業がしっかりと続けられるようにしていきましょう。
 国交正常化35周年の意義を全体のものとし、35周年記念事業を成功させましょう。

  (07.3.16 長野県日中友好協会事務局長 布施正幸)