<新年あいさつ>
友好信頼関係の再構築・発展を目指そう

長野県日中友好協会理事長 西堀 正司

 新年おめでとうございます。旧年中は役員会員の皆様、関係の皆様には何かとご支援をいただきました。心よりお礼申し上げます。

 昨年は戦後60年でした。第10回日中友好交流会議が4月長野市において開催され成功のうちに終わりました。会議には中国から宋健・中日友好協会会長、日本側は村山富市・協会名誉顧問(元総理)など日中双方から400名が参加し、厳しい日中の政治環境を解決して前進させるため民間団体として何ができるかを討論しました。

 日中関係は経済交流、文化交流が大きく発展している中で、小泉総理の5回にもなるA級戦犯合祀の靖国神社参拝の影響によって必要な政治対話や両国首脳交流も中断しています。「政冷経熱」から「政冷経冷」さえ予想させるような事態になりつつあります。日本国内の違憲判決や批判とともに、中国・韓国やアジア各国の不信もつのり、日本政府の外交は、ほとんど成果を上げることができず失敗に終わっています。

 歴史と伝統を持つわれわれの日中友好運動は、県協会創立50周年の節目を迎えます。全国組織が1950年に創立されて6年後の1956年に県協会組織が誕生しました。旧満州開拓団送出日本一という負の遺産を日中不再戦・平和友好の硬い決意のもとプラスに転換するために、戦中県内に強制連行された中国人殉難者の慰霊事業に取り組む中から、県民の期待を集めての出発でした。

 創立以来、協会は日中国交正常化を目指し民間友好運動を発展させてきました。紆余曲折はありましたが、そのつど日中友好を望む多くの県民の皆さんに支えられて、困難を克服し友好活動は継続され発展してきました。

 1972年日中国交正常化が実現し、新しい歴史の一頁が開かれました。更に78年日中平和友好条約の締結と同時期に中国も「改革開放」へと舵を切りました。中国はこれを機に大きく変化し、それは経済・文化・国民生活全般に及びました。日中関係も更に大きく発展する基盤ができました。

 県協会の運動も客観情勢の変化に合わせて「官民あげての友好運動」へと転換しました。新しい条件のもとで日中友好運動は生き生きとした発展の道を歩み、県民ぐるみ市町村ぐるみの運動へと発展しました。県民の翼、友好都市提携、青年の船、スキー交流、留学生ホームステイ、長野オリンピックに中国友人を招く取り組み、希望小学校や緑化協力など枚挙にいとまがありません。

現在の課題は、日中両国民間の友好信頼関係の再構築に努め新たな発展を目指すこと、および後継世代を養成して、日本にとって重要な意義を持つ日中友好事業をしっかりと続けられるようにしていくことです。戦前・戦中・戦後と様々な体験を持つ高・壮年会員の皆様の経験を若い会員に語り継ぐ事業は大切であり、新会員を拡大し、組織強化に結びつけたいと思っています。県協会創立50周年記念事業を成功させ、日中友好が発展できますよう皆様ともどもに頑張りたいと思います。
         (2006.1.1)