中国帰国者援護充実に関する請願書

 長野県議会(萩原清議長)は12月25日、本会議において長野県日中友好協会(井出 正一会長)から提出されていた「中国帰国者援護充実に関する請願書」を全会一致で採択しました。その全文は以下の通りです。

 長野県は、戦前・戦中、国策に従い旧満州(中国東北地区)に全国最多の開拓団員約3万3千人を送り出し、内半数が敗戦後の混乱の中で犠牲となりました。県内には現在約270人の中国帰国者一世(残留孤児・残留婦人)をはじめ約4300人の帰国者が暮らしております。これは47都道府県の中で3番目に多いものです。帰国者援護施策の充実は、長野県民の等しく関心を寄せている事柄であります。

帰国者一世は高齢化に伴い、少ない年金や言葉・生活習慣の相違、健康不安など多くの困難を抱えております。また、二・三世についても就労が困難など地域社会からの孤立に起因する問題が指摘されています。

神戸地裁は12月1日の帰国者訴訟の判決で、国の責任を認める判決を下し、改めて国の帰国者支援対策強化の必要性を世に示しました。

2003年10月2日県議会では当協会が請願した「中国帰国者援護充実に関する請願書」を採択いただき、それを受けて長野県は2004年4月から帰国者一世への月3万円の支援金支給を実施し、帰国者から感謝されております。しかしこの問題は本来国の責任において実施すべきことであり、高齢化の著しい中、帰国者援護施策の一層の強化が強く望まれるところであります。

本年春には、与党中国残留邦人支援に関するプロジェクトチームによる月額13万円支給などを骨子とした「帰国者老齢給付金」制度の創設構想が報ぜられました。これに対し大きな期待が寄せられていますが、いまだ実現に至っておりません。 
  一方、国は、帰国5年を経過した帰国者支援のため日本語学習支援事業・相談事業・交流事業などをおこなうための拠点として、「帰国者支援・交流センター」を5か所設置しております。県内においては、今まで帰国者自立研修センターが帰国者の精神的よりどころとしての役割を果たしてきましたが、平成19年末をもって閉所の方針と伝えられております。県当局は厚生労働省社会援護局に自立研修センターの役割を引き継いでいくために、県内に「帰国者支援・交流センター」を開設されるよう要望されておられるそうですが、この実現が強く望まれるところであります。
  つきましては次の事項について国に対して働きかけられたく要望いたします。

1.帰国者一世世帯の高齢化に伴う老後保障の充実対策として「帰国者老齢給付金制度」をすみやかに実現していただきたい。

2.高齢化の著しい帰国者一世ならびに二・三世世帯に対して、引き続き地域での支援活動が必要であり、その拠点としての「中国帰国者支援・交流センター」を全国で3番目に多い帰国者が暮らす長野県に是非開設していただきたい。