<年頭所感>
 県協会創立50周年の年にあたって

           長野県日中友好協会会長 井出 正一

 新しい年をご健勝でお迎えになられたことをお慶び申し上げます。併せて昨年もそれぞれの立場で日中友好のために活動くださった皆様に心から敬意を表するとともに、当協会へのご協力に感謝申し上げます。

 戦後60周年という節目の年であった昨年ですが、こと日中関係、とくに政府間関係は、国交正常化以後最悪の状況でありました。

 その核心は小泉総理の「靖国参拝」にあるのは明らかですが、信念というより”○○につける薬はない”感すらします。田中明彦東大教授は『読売』(H17.11.26)の”論壇思潮”で「外交も民営化するつもり?」と題し、皮肉をまじえながら「日中関係や日韓関係の悪化を何とかしなければ、国民に不利益が生ずるのもまた事実である。首相が首脳レベルの外交ができず、外相がたいしたこともできないのであれば、国民自らが何とかするしか仕方がないのであろう」と、企業が全力を尽くして友好的な市場を維持する努力、大学や学術機関が優秀な留学生を招くなど学術交流を深化させる必要、友好都市などを結んでいる地方自治体の草の根レベルでの交流の進展を提言されています。

 その意味で、昨年4月長野市に、中国及び日本全国から400名の代表が集まり、私たち長野県日中友好協会も共催して開催された第10回日中友好交流会議は、ちょうど中国で「反日デモ」が発生していた最中でしたが、それだけに時宜に叶った意義深い交流の機会でありました。

 さて今年は、わが長野県日中友好協会が創立されて50周年を迎えます。過般の侵略戦争の反省を踏まえ、日中不再戦・平和友好の決意のもと、多くの先輩方が友好活動に参加し、細い険しい道を大きく拡げてきました。いまや全国でもっとも会員数の多い、活発な事業を展開しているわが協会であります。

 50年前といえば、『経済白書』が有名な「もはや戦後ではない」と宣言した年です。にもかかわらず日本政府は、新中国が成立して7年も経つのに国交を樹立するにいたっておりませんでした。友好促進の道の困難さは、現在の比ではなかったはずです。先輩諸氏の友好への熱き思いを受け継ぎ発展させていく責任と使命が私たちにはあります。

 諸々の記念事業が計画されておりますが、長野県日中らしい、そして次なる50年に向かってのステップとなるような事業に、みんなで力を合わせてしたいものです。