日中友好映画の夕べ、張芸謀監督の『単騎、千里を走る』が上映
王大使、奥田経団連会長、信頼関係築く努力を求める



 中国映画100周年を記念し、「日中友好映画の夕べ」が、日本経済広報センターの主催により、10月24日東京国際映画祭の特別イベントで開かれた。映画祭のトップをきって張芸謀監督の日中共同制作作品『単騎、千里を走る』が上映された。
 この作品は張監督と高倉健とのコラボレーションということで早くも話題を呼んでいる大作。張監督はもともと高倉健のファンで、一緒に映画作りができる日を夢見ていた。それだけに力の入った作品になっている。
 張監督は「この映画は、父と息子の関係だけでなく、ひとと人との結びつき、思いやり、愛情といった普遍的テーマを描いている」と話す。また、主演の高倉健については、「少なくとも私のこころのなかではずっと神様のような存在でした。彼が出演した映画は多くの中国人に感動を与えたのです。70年末から年代初めには、映画学校などで『高倉健モデル』というものが流行って、みんな健さんのように襟を立ててみたりしたのですよ。彼は僕のアイドルで、その気持ちはずっと変わっていません」と熱い思いを語った。
 この日は、両氏のほか、王毅・駐日中国大使や奥田碩・日本経団連会長も出席して祝辞を述べた。
 王大使はあいさつの中で、「家族同士、相手を傷つけることは控えたほうがいいと思う。隣人同士、国同士の関係もそうではないか」と述べ、小泉純一郎首相の靖国神社参拝でギクシャクしている日中関係に関連し、中国の国民感情に配慮するよう求めた。「『単騎、千里を走る』はみんなが心打たれる作品。家族のきずなは切っても切れない」と、思いやりの大切さを強調した。その上で「当面の中日関係にとって、文化交流の強化によって、両国民の相互理解を増進することが必要ではないか」と延べ、文化人の積極的な活動に期待を示した。
 奥田会長もあいさつの中で「日中指導者には率直に議論し、相互理解を深め、信頼関係を築く努力を御願いしたい」と求めた。