野中広務氏(全国日中名誉顧問)を迎え飯田で特別講演会   
   「今、日中関係を展望する」、戦争の歴史検証を

 戦後60周年記念事業として、飯田日中友好協会(河原進会長)が主催し(南信州新聞社共催)、日中友好協会名誉顧問の野中広務氏(79)の講演会「今・日中関係を展望する」が7月31日、飯田市のホテル神明閣オオミヤで開かれた。長く政権の中枢にあり、中国の要人とのかかわりを持ちながら日中関係発展に努めた経験や、ぎくしゃくした関係が続く日中関係における課題と友好への道筋を語った。約250人が来聴した。

 主催者を代表して、河原進会長は戦時下、中国東北部へ人口比率では全国最多の満蒙(まんもう)開拓団を送り出した飯田下伊那地方の歴史に触れた上で、帰国者支援や今年発足した引き揚者、帰国者が経験を語り継ぐ「語り部の会」の開催といった会の活動を紹介して「講演を通じて、中国と日本の課題を皆さんとともに考えたい」とあいさつした。

 野中氏は京都府議時代から、中国をはじめとするアジア諸国へ戦没者の慰霊の旅をし、10月には念願だった中国東北部への初訪問を予定していることを踏まえ、「多くの戦争犠牲者を慰霊するとともに、日本の孤児たちを貧しい中でも温かく育ててくれた中国の人たちにお礼を言いたい」と述べた。

 今年、中国各地で起こった反日デモや小泉首相の靖国神社参拝の問題について「両国の異常な事態がどのような背景から起きているのか、戦争の歴史を検証しなければならない」と強調。若者の近現代史の理解の低さを指摘して、昭和史を中心とした歴史の学習の必要性を示唆した。