戦後六十周年にあたり、近代史に学ぼう 

              長野県日中友好協会理事長 西堀 正司

 本年は戦後六十周年の節目の年です。この六十年間は、大変化の時代でありました。二十世紀には二度にわたる大戦があり、その間日中関係にも長い戦争があり日本は敗北したのでした。日中間には十九世紀末から二十世紀前半にかけて不幸な関係でした。

 さまざまな理由がその時その時に存在しましたが、日本の侵略戦争ということは間違いありません。半世紀にわたる、日本の中国、朝鮮半島、アジア諸国等に対する侵略行為の反省は絶対に忘れてはならない日本国民の責務です。戦後、多数のアジア諸国は植民地から解放され独立を達成しましたが、しかし依然として各国とも過去の日本の統治やその時代の事を忘れていないのです。「歴史に学ぶ」事の重要性は言を待ちません。

 さて、中国経済は超高度成長を続けています。その中国経済の発展は日本への波及効果と影響もすばらしいものがあります。しかし、日中政治関係の「政冷」の為、将来不安が少しずつ出てきています。それはサッカー試合や反日デモ、ガス田開発、潜水艦事件、国連改革と日本常任理事国入り問題、歴史教科書等々、ギクシャクが拡大しています。さかのぼって考えますと本は相互不信ということです。小泉内閣誕生以来四年間に不信の「連鎖」が進んだのも事実です。様々な原因がありますが主たるものは、総理のA級戦犯合祀の靖国神社参拝から発したものといえます。

 信頼関係の構築を急がねばなりません。まず日本政府は相互信頼を醸成する行動のシグナル(参拝中止)を出すべきです。民間の我々は役割を発揮して、この危機にある日中関係の現状を解決する為の積極的な友好活動を強化すべきです。六十周年の今年、団結し多くの心ある人々と連帯してアジア、中国に対する過去の歴史から学ぶと同時に、日本の進路に対し明確な方針を示す事だと思います。戦争を阻止し脅威を少なくする事、平和の実現こそが二十一世紀の生きる路である事を確認することではないでしょうか。

 それには、日中友好こそがこの基礎創りに大きな役割を果たす事でしょう。戦後日本は、非核三原則など立派な政策を世界に発信し国民も平和友好に対して貢献してきました。更なる日本の将来を決めるには、日中不再戦と協力発展の戦略を打ち立て、日中二カ国協力関係強化をしなければなりません。日中友好の強化なくしてアジアと世界の平和は無いというのが我々の考えです。本年末から「東アジア共同体」構想が一層進展する事となるでしょう。日本は遅れる事なくこの問題に取り組まなければなりません。

 皆さんの日中友好運動への一層の御参加により現状を打破し前進する事が出来ると信じます。共に友好の為の諸事業に精力的な御協力をお願いいたします。