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日本文学、中国の若者に人気

村上春樹作品は350万部のベストセラーに


 小泉純一郎首相の靖国神社参拝などを受け、日中関係は「国交正常化以来最悪」とされる中、中国で日本の文学などが人気を呼び、出版界では「日本ブーム」が起きている。日本との多様な交流が深まっているほか、知識人を中心に日本に対する関心が高まっていることも背景にあるようだ。

 人気の筆頭ともいえるのが村上春樹氏の作品だ。村上氏の作品の翻訳を多数手がける中国海洋大の林少華教授によると、中国では「ノルウェイの森」や「海辺のカフカ」など31作品が翻訳され、約350万部が出版された。「中国の作家を含めても文学ではベストセラーの1つ」(林教授)という。月収5千元(約7万2千円)を超えるホワイトカラーなど若者の間で「村上熱」が根強い。また、米国の文化人類学者ルース・ベネディクトの日本文化論「菊と刀」は昨年、中国紙の学術図書ランキングで30週以上もトップテン入り。中国では約5年前に出版されたが「毎年1万部以上出ており、特にここ2、3年良く売れている。学術図書としては異例」(出版社の商務印書館)という。

 別の出版社幹部は「中国人の日中関係への関心はとても高い。日本人の国民性を知るために『菊と刀』を読むようだ」と話す。

 海外作品を専門に手掛ける「訳林出版」(江蘇省南京)は「日本人作家の作品は人気がある。夏目漱石の『吾輩は猫である』も売れている」と話す。北京の「文化出版社」では数年前に渡辺淳一氏の全集を発行し「若者に愛読されている」と胸を張る。

 だが、日本文学のファンが「日本好き」とは限らない。村上氏と谷崎潤一郎を崇拝するという中国の若手有名作家はあるインタビューで「日本の作家は好きだが、日本人は嫌いだ」と心情を吐露。林教授は「反日デモの参加者にも『村上ファン』はいると思う」と述べ、中国人読者が日本の政治と文化を分けて受け止めている実態を指摘する。

 村上ファンを自任する北京大大学院の女子学生(23)は「女子学生の間では『村上を読まないと時代遅れ』といわれる」と傾倒ぶりを隠さない。「日中関係は厳しいが、政治と文学は別問題。美や善を追求する気持ちは同じ。中国人が日本人の作品を好きになっても全然おかしくない」と話している。(北京、共同=渡辺陽介/信濃毎日11/14夕)