東シナ海ガス田日中対立どう解決
「データ開示無理な要求、折り合って共同開発を」

             石油資源開発元取締役 猪間明俊氏に聞く(信濃毎日新聞9/6)

 東シナ海の天然ガス田開発は、中国がデータ開示などに応じない一方、日本も試掘に向けた手続きを進め、対立が続いている。日中双方の資源開発の現場に詳しい石油資源開発の猪間明俊元取締役に解決への課題を聞いた。

 −中国は日本側の要求に応じようとしない。

 「データ開示は無理な要求。中国側はデータ収集に多額の費用をかけている上、日本側が排他的経済水域(EEZ)の境界線と主張してきた東シナ海の日中中間線の中国側で開発しており、データを見せろというのはメーカーに特許技術をただでよこせというのと同じだ」

 「採掘地点は、日本国内の法令でも鉱区の境界から百メートル離れていればいいと定めている。中間線から数キロ離れた中国側海域での採掘に対し、国内法に照らしても文句の言いようがない。統一的な国際ルールもない」

 −日本側の影響は。

 「長い年月をかければ確かに周囲の資源を吸い取ることができる。今は深度が二千メートルくらいなら水平距離で七、八キロ傾斜させた井戸で採掘することも可能で、そうした技術を使って日本側の資源を直接採掘するとなるとひどい話だ。日本は中止を求める権利を持つが、残念ながら日本が独自に確かめる方法はない」

 −どう対応すればいいのか。

 「日本の選択肢は中国と共同開発するか、対抗して中間線近くで開発を進めるかの二つだ。対抗するなら、軍事的な衝突が発生する可能性も否定できず、危険海域に企業が社員を送ることはできない。残された選択肢は共同開発しかない」

 −共同開発の方法は。

 「緊急の課題は『春暁』のように中間線をまたいで資源が存在している可能性がある天然ガス田の開発。中国側の分は全部中国が取るのは仕方ないが、日本側の分も先に発見した努力を認めて、中国側にある程度の優先権を認めて共同開発するしかないだろう。言うべきことは主張しなければならないが、妥協できる部分では折り合う努力が必要だ」