日中の相互信頼・協力強化を−歴史問題を解決し、両国首脳会談実現を願う
                       長野県日中友好協会理事長 西堀正司


 世界情勢が激しく動いている中で、日中関係は大きな発展と前進が見られます。日中国交回復から32年、両国間の交流は、経済、文化、人事、科学等大きく発展しました。日本と中国との関係がこれほど大きく重いものになったのは、歴史上はじめてのことです。
 これは両国国民の努力によるものです。信頼と理解による民間の活動が現在の両国関係樹立の原動力といえるでしょう。民間のすばらしい活動が大きな成果を上げている一方、それが生かされていないのが両国首脳の相互訪問です。私ども協会は、一日も早い首脳交流の再開を願っていますが、実現していません。
 両国首脳交流が実現できない理由は、はっきりしています。それは、日本首脳の歴史認識の浅さと過去の問題についての考えが整理できていないからです。
 1972年の日中共同声明、78年の日中平和友好条約、98年の日中共同宣言には守るべき原則がはっきりと明記されています。首相はもう一度精読され、正しい認識に立つよう要請します。
 今中国は発展期にあり、世界各国はそれに注目して官民あげて関係の強化のための活動を強めています。中国自身も、WTO加盟や平和と安定の諸政策を実行してその成果も大きく実っています。
 この時に歴史的・地理的に有利な日本が一部政府の責任者の正しくない行動によって交流が影響を受けるような事があってははなりません。
 2008年の北京オリンピックの開催と前後して中国は21世紀のアジアの平和のための政策を沢山打ち出しています。政治や経済に対するアプローチも始まっています。東アジア安定に対する政策、日中韓の連携、北朝鮮をめぐる6カ国協議、ASEANプラス3カ国会議、ロシア等関係国との上海機構、円元をはじめとするアジア諸国との次の通貨政策。このように見ますと日中関係を強化する重要性は一時も休む事のできないものです。首相の早い正しい決断により首脳会談の実現を期待します。
 さて日中民間運動の中心である協会は明年4月中旬に長野県において第10回日中友好交流会議を開催する事になりました。1983年に第1回が北京で開催されてから10回を迎えます。実際交流を重視してその成果を両国国民が享受するのが目的であり、両国政府にも提言し、できるものはすぐ実行してもらう事も大切な事であります。
 また明年は戦後(敗戦)60年の節目の年でもあります。現在私達が平和で生活できるのは先輩各位の犠牲と努力の上にあります。反省と再出発の60年の節目ではないでしょうか。
 隣国中国との友好の強化は、日本の安全にとって最も重要であり、アジアと世界の平和に貢献するものです。日中の平和・友好・相互信頼強化のために、共に頑張りましょう。(「日本と中国」長野県版58号、7/15記)